死亡事故コラム

コラム

人身事故で被害者が死亡してしまった場合の慰謝料請求のポイント

2025.01.23

慰謝料増額 死亡慰謝料

このページでは、交通死亡事故被害専門の弁護士が、

  • 死亡事故が発生した場合に行うべきこと
  • 死亡事故における加害者の責任
  • 慰謝料請求の基本と具体的な流れ
  • 慰謝料を請求する際の注意点
  • 人身死亡事故遺族へのサポート

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通死亡事故被害専門の弁護士による解決サポートを行っております。

大切な人を事故で亡くされ、ご不安やご心痛をお抱えかとお察しいたします。

被害者の方やご家族の方の無念を晴らすべくサポートさせていただきますので、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通死亡事故被害専門弁護士による解決サポートの詳細はこちら。

 

死亡事故が発生した際に最初に行うべきこと

葬儀関係費用

死亡診断書と死亡届の手続

人身事故発生後、被害者が死亡した場合には、遺族が死亡診断書や死亡届の手続を行う必要があります。

 

死亡診断書は医師によって発行される書類で、被害者が病院で死亡した場合には入院先の医療機関から提供されます。

 

その後、この診断書を基にして役所に死亡届を提出しなければなりません。

死亡届は、通常、死亡発生から7日以内に提出する必要があります。

 

また死亡届の提出と同タイミングで埋火葬許可申請書を提出し、埋火葬許可証を受け取る必要があります。

 

葬儀者に連絡をして葬儀の手続を進めるとともに、

各種保険の資格喪失の手続などを進めなければなりません。

 

 

大切な人を亡くされただでさえ大変な時期になりますが、

速やかに手続を進めなければならない事項もございますので、専門家に相談しつつ進める必要があります。

 

 

事故現場での証拠保全の重要性

死亡事故が発生した際、事故現場の状況や加害者の過失割合を証明するために証拠保全が欠かせません。

事故現場の写真撮影、目撃者の情報の収集、ドライブレコーダーの映像取得などが具体的な方法として挙げられます。

 

このような証拠は、後日加害者が損害賠償の責任を否認する場合や過失割合を争う際に、遺族が正当な慰謝料や損害賠償を請求するために必要不可欠です。

また、警察の実況見分調書も重要な証拠となるため、できるだけ詳細かつ正確な調査を求めるようにしましょう。

 

死亡事故加害者が負う責任

刑事責任の傾向

死亡事故を発生させた加害者は刑事責任を負うことがほとんどです。

 

交通死亡事故で加害者が負う可能性のある罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に規定されているとおりです。

  • 危険運転致死罪(同法第2条及び第3条)
  • 過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪(同法第4条)
  • 過失運転致死傷罪(同法第5条)

 

第2条に該当する危険運転致死罪の場合は1年以上の有期懲役、

第3条に該当する危険運転致死罪の場合は15年以下の懲役とされています。

 

判例の傾向として、概ね懲役6年~9年の刑期が多いようです。

ただし、

  • 飲酒量が大量
  • 大幅な速度超過
  • ひき逃げ
  • 同種の全科がある
  • 職業運転手であるにもかかわらず事故を起こした
  • 飲酒運転を事故前に注意されたことがあった
  • 事故後の態度が悪い

等の事情があると刑期が長くなる傾向にあり、

  • 前科がない
  • 反省や謝罪がある
  • 支援者・監督者がいる
  • 損害賠償金や示談金の支払があっている
  • 既に社会的制裁を受けている

等の事情があると刑期が短くなる傾向にあるようです。

 

第4条に該当する過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の場合は12年以下の懲役とされています。

 

第5条に該当する過失運転致死傷罪の法定刑は、

懲役7年以下・禁錮7年以下・罰金100万円以下のいずれかとされています。

 

詳しくは以下のページをご覧ください。

 

民事損害賠償の範囲と内容

人身事故により被害者が死亡してしまった場合、被害者のご家族は、加害者側に対して被害者本人及びその近親者に発生した損害の賠償を請求することができます。

請求できる主な内容には、被害者の死亡による慰謝料、逸失利益、葬儀費用、さらに事故当時の治療・入院費用や付添看護費用、交通費などが含まれます。

 

特に重要なのは「死亡慰謝料」と「逸失利益」です。

死亡慰謝料とは、被害者本人が受けた苦痛と、被害者本人を失ったことにより近親者の方が受けた苦痛に対して支払われるものです。

被害者の方の属性(一家の支柱である・母親である・子供である等)により2000万円~3000万円の相場の間で変動します。

 

 

逸失利益とは、事故に遭わなければ被害者が将来働いて得ていたはずであったのに、事故により亡くなってしまったせいで得られなくなった利益を言います。

この逸失利益は、被害者の事故前の年収や年齢、被扶養者の有無や性別などにより金額が変わりますが、

数千万円以上の金額になることも多く、適切に請求をすることが重要です。

 

 

 

保険会社との示談交渉の進め方

死亡事故が発生した場合、加害者が負う民事責任は保険会社を通じて示談交渉が行われるケースが一般的です。

しかし、保険会社は被害者遺族に対して支払う賠償額を低く抑えようとする傾向があるため、交渉は慎重に進める必要があります。

 

示談交渉では、被害者遺族が請求する損害額の根拠や証拠をしっかりと提示することが重要です。

また、過失割合が損害賠償額に大きく影響するため、事故当時の状況や証拠を基に適切な過失割合を主張することが望ましいです。

 

人身事故で被害者の方が亡くなってしまった場合、実体験として被害者が事故当時の状況を説明することができません。

一方で加害者の側が生存していた場合には、加害者は証言をすることができ、嘘をつく場合もあります。

 

だからこそ警察や検察にしっかりと捜査をしていただくのが重要になります。

また、刑事裁判が開かれる場合には被害者参加をすることも重要です。

 

被害者参加制度とは、平成19年の刑事訴訟法の改正により導入された制度です。

従来は被告人(加害者)・検察官・裁判官の3者で行われていた刑事裁判に被害者が参加して意見や心情を述べることができるようになりました。

 

刑事裁判への被害者参加は、被害者(ご家族)の観点から加害者の責任追及が可能になるため、

加害者の刑事責任はもちろん、民事の損害賠償額や過失割合等についても影響を与えます。

 

弁護士法人小杉法律事務所でも、起訴前から警察や検察とコミュニケーションをとりながら、

刑事裁判に被害者参加をして加害者の嘘を暴いた事例や、民事裁判にて過失割合を逆転させた事例などもございます。

 

 

被害者の無念を晴らすためにも、加害者の嘘の供述で過失割合が認定されることなどあってはなりません。

交通死亡事故被害専門の弁護士が、警察や検察とのコミュニケーション、現地調査などをもとに適切な過失割合での解決をサポートします。

 

慰謝料請求の基本と具体的な流れ

慰謝料の基準と相場

交通事故による死亡事故での慰謝料は、被害者やその遺族の精神的苦痛を補うために支払われるものです。

その基準は裁判所の過去の判例をもとに算出されます。

 

一般的に、慰謝料の金額は被害者の属性によって変わります。

損害賠償請求実務上最も通用力のある裁判基準の文献である「赤い本」、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)では、

以下のように目安が示されています。

 

  • 被害者が一家の支柱と評価される場合:2800万円
  • 被害者が母親、配偶者と評価される場合:2500万円
  • 被害者がその他(独身の男女、子供、幼児等)と評価される場合:2000万円~2500万円

 

この金額の中には、被害者の方を失ったことによりご家族(近親者)の方が受けた精神的苦痛に対する慰謝料も含まれています。

しかし、「赤い本」においても「本基準は具体的な斟酌事由により、増減されるべきで、一応の目安を示したものである。」とされています。

 

民法711条他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

と規定されているように、

被害者の父母、配偶者及び子については、被害者が人身事故で亡くなってしまった場合には固有の慰謝料を請求することができます。

ただし、生前被害者との関係性が深く、父母、配偶者及び子に準ずるような立場にあった方(兄弟姉妹の方などが代表的です)についても、固有慰謝料が認められる場合があります。

 

 

死亡慰謝料は、被害者の生前の様子や、被害者を失ったことによる近親者の方の苦痛などを丁寧に証言していくことで金額が大きく変わる部分でもあります。

お辛いことかと思いますが、受けた苦痛をしっかりと主張していくことも重要になります。

 

 

慰謝料を請求する際の注意点と弁護士に依頼するメリット

必要な証拠の収集方法

交通事故において慰謝料を請求するには、明確な証拠を揃えることが最も重要です。

 

警察や検察の捜査記録、刑事裁判での記録などはもちろん重要になります。

その上で、例えばご家族の方が病院に駆け付けた際の交通費の領収証や、葬儀や火葬、墓碑建立、戒名料などの領収証などを一つ一つ積み重ねていく必要があります。

 

また、被害者の方の生前の様子やご家族の方が受けた苦痛を示す証拠として、刑事裁判に参加した際の心情意見陳述書や、民事でも別途陳述書を用意することが適切な慰謝料の認定に繋がることもあります。

 

弁護士に依頼するメリット

死亡事故における慰謝料請求は、交渉や手続が高度な専門知識を必要とするため、弁護士のサポートを受けることが大きなメリットとなります。

 

弁護士は、加害者側や保険会社との交渉を有利に進めるための知識と経験を有しており、被害者や遺族が適切な金額の慰謝料を受け取れるよう支援します。

また、刑事裁判への被害者参加サポートも行っておりますので、刑事責任の追及についても支援させていただきます。

 

人身事故で大切な人を亡くされた方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

交通死亡事故被害専門の弁護士が誠心誠意サポートいたします。

 

交通死亡事故被害専門の弁護士との無料相談の流れについてはこちら。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。