【弁護士解説】交通事故でのむちうち慰謝料の計算について
2025.01.20
損害賠償請求
このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 交通事故によるむちうちとは?
- むちうち慰謝料の計算基準
- むちうちの慰謝料相場
- むちうちで後遺症が残ってしまった場合に可能な請求
- むちうちで示談交渉する場合のポイント
について解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。
交通事故被害に遭い、慰謝料請求について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
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交通事故によるむちうちとは?
交通事故における「むちうち」とは、一般的に自動車による追突事故などで首や腰に負う損傷を指します。
この症状は医学的には
- 「頚椎捻挫」
- 「外傷性頚部症候群」
- 「頚部挫傷」
- 「頚部打撲」
などと呼ばれ、頚部の急激な前後運動によって引き起こされます。
「頚部」も「頸部」も表記が違うだけで同じ意味です。(「頚髄損傷」と「頸髄損傷」。漢字が違うが意味も異なるのか?)
このむちうちは頚部だけでなく、腰部の損傷(「腰椎捻挫」「腰部挫傷」「腰部打撲」など)についても言い、
交通事故実務においては概ね一括りで理解されることが多いです。
むちうちの症状
むちうちの主な症状には、首の痛みや肩こり、頭痛、めまい、吐き気などがあります。
これらの症状は、事故直後に現れる場合もあれば、数日経過してから現れることもあります。
そのため、交通事故の被害者は、事故後すぐに異常を感じなくても、必ず医療機関で診察を受けることが重要です。
通院することで、症状の記録を残し、後の慰謝料の請求手続きを円滑に進める基盤となります。
事故から初診の間が空いてしまうと、そもそも本当にその交通事故のせいで受傷したのか?という因果関係の部分に疑義が生まれますし、
事故直後は痛くなかったから、という理由は怪我が軽傷で済んだのだろうと相手方保険会社に推察させる要素になります。
特に後遺症が残るような場合には、事故当時物件事故で処理されていることや、事故~初診が少し空いているということなどが、
後遺症が認められない事情にもなりかねません。
なるべく早く整形外科を受診するようにし、めまいや耳鳴りが続くようであれば耳鼻咽喉科の受診も検討しましょう。
なお、継続して整骨院に通院することを検討している場合でも、初診は整形外科への受診をお勧めします。
交通事故事案で後遺障害等級の認定を行う自賠責損害調査事務所も、裁判所も、整骨院と比較すると整形外科への通院をより重く見ているためです。
むちうちが発生しやすい事故のタイプ
むちうちは特に、追突事故によって発生しやすいとされています。
これは、後方から不意打ち的に衝撃を受けることで、
首が激しく前後に揺さぶられ、首の過屈曲・過伸展が起きやすい事故態様だからです。
ただし、では出会い頭事故や他の事故類型でむちうちにならないかというとそうではなく、なることももちろんあります。
むちうち慰謝料の計算基準
交通事故でむちうちを負った場合、慰謝料の額はさまざまな基準を元に計算されます。
この基準には、自賠責基準、任意保険基準、そして弁護士基準があります。
それぞれの基準の特徴について順にみていきましょう。
自賠責基準
自賠責基準とは、自賠責保険金の支払に当たって適用される基準です(自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準 )。
そもそも自賠責保険が強制加入保険として設けられている目的は、被害者保護の制度を確立することで交通の円滑化を図るためです。
自動車損害賠償保障法第1条「この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立するとともに、これを補完する措置を講ずることにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。」
ですから、被害者側は平等かつ迅速に保険金を受け取ることができます。
ですがその逆に、一定限度までしか支払がなされないため、被害者側として適切な慰謝料額には到底及びません。
任意保険基準
任意保険基準では、保険会社ごとに異なる基準が設けられていますが、おおむね同じです。
一般に自賠責基準よりは高い金額が適用されることが多いですが、弁護士基準と比べると低額に収まることがほとんどです。
弁護士基準
弁護士基準は、過去の判例や裁判結果に基づいて算出されるため、最も高い慰謝料が得られる可能性があります。
(『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)参照)
この基準では、交通事故によるむちうちや通院の状況を詳細に評価し、被害者の精神的・肉体的な苦痛を適切に反映した額を求めることができます。
特に、慰謝料の提示額に納得がいかない場合や、後遺症が疑われる場合は、弁護士に依頼することで、より有利な条件で示談交渉を進めることができます。
むちうちの慰謝料相場
交通事故によるむちうちは、追突事故などによって発生することが多いです。このような事故後のむちうちに対する慰謝料は、通院期間によって変動します。
具体的に見てみましょう。
1ヶ月通院の場合
交通事故によるむちうちの治療で1ヶ月間通院した場合、弁護士基準での慰謝料の相場は約19万円です。
自賠責基準では最大で12万9000円になります。
3ヶ月通院の場合
交通事故の影響で3ヶ月間通院する場合の弁護士基準での慰謝料の相場は約53万円です。
自賠責基準では最大で38万7000円になります。
6ヶ月通院の場合
6ヶ月の長期にわたって通院を続けた場合、弁護士基準での慰謝料相場は約89万円とされています。
しかし、これもあくまで軽傷な場合です。
後遺症が残った場合、とりわけ後遺障害等級第12級13号が認定されるような後遺症残った場合には、116万円が一つの目安となります。
自賠責基準では最大で77万4000円にとどまることを考えると、治療期間が長期になるとそれだけ弁護士に依頼するメリットが大きくなるといえるでしょう。
後遺障害等級の認定には6ヶ月以上の通院が要件の一つとして挙げられますから、身体に後遺症が残るような場合には6ヶ月以上の通院をお勧めします。
後遺症が残った場合の慰謝料
交通事故において、むちうちの後遺症が残る場合、後遺障害等級認定を獲得することにより慰謝料が加算される可能性があります。
後遺障害等級認定の獲得にあたっては、医師に適切な後遺障害診断書を書いてもらえるかどうかで、適切な認定の可能性が大きく変わります。
もちろんこの後遺障害診断書の作成は主治医が行うものですが、等級認定のポイントは弁護士が知っているものになりますから、
もうすぐ症状固定になりそうというタイミングで一度弁護士に相談することをお勧めします。
後遺障害等級の認定方法
交通事故における後遺障害等級認定は主に自賠責保険損害調査事務所で行われ、第1級から第14級まであります。
等級は、交通事故による障害の程度と日常生活への影響を基に決められます。
例えば、むちうちのケースでは、14級9号として認定されることが多いですが、
医師の診断書や検査結果、治療内容などが重要な要素となります。
適切な等級を認定してもらうためには、証明資料をしっかりと揃えることが大切です。
等級ごとの慰謝料の違い
等級ごとの慰謝料の額も一般的には弁護士基準が最も高額になります。
例えば、後遺障害等級第14級9号に該当する場合の慰謝料は、弁護士基準で約110万円とされています。
自賠責基準では32万円です。
一方で、後遺障害等級第12級13号に該当すると、弁護士基準の慰謝料は約290万円が一つの目安となります。
自賠責基準では94万円です。
これを見ていただいても分かるように、適切な後遺障害等級認定を獲得すること、そして弁護士基準で請求することで、
適切な慰謝料の獲得を目指すことができます。
示談交渉のポイント
弁護士に依頼するメリット
交通事故によるむちうちでの慰謝料請求や示談交渉において、弁護士に依頼することには多くのメリットがあります。
まず、慰謝料の計算や交渉は専門的な知識が必要であり、被害者自身で行うのは困難な場合が多いです。
弁護士は、過去の判例や法律に基づいた適正な慰謝料を求めることができます。
また、保険会社との交渉では迅速な解決へとつながる可能性が高くなります。
さらに、弁護士に依頼することで、被害者は治療に専念でき、精神的な負担を軽減することもできます。
交渉成功のための注意点
むちうちの慰謝料交渉を成功させるためには、いくつかの注意点があります。
まず、事故直後からの通院期間や頻度は、慰謝料の額を決定する上で重要な要素となります。
できるだけ早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
また、通院記録や診断書などの証拠をしっかりと揃えておくことも重要です。
次に、保険会社から提示される慰謝料の基準は、実際の相場と比較して低いケースが多いため、鵜呑みにせず、弁護士に相談することをお勧めします。
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