交通事故コラム

後遺障害

交通事故による脊髄損傷:知っておくべき後遺障害等級認定と適正な賠償の受け方

2024.12.04

脊髄損傷

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 交通事故による脊髄損傷
  • 脊髄損傷に認められる後遺障害等級
  • 脊髄損傷について適切な賠償金を得るためのポイント

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による賠償金無料査定サービスを行っております。

交通事故被害に遭い、ご自身が受け取れる賠償金額について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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交通事故による脊髄損傷とは

脊髄は、脳から体全体へ神経信号を送る役割を担う中枢神経系の一部です。

そのため損傷を受けると、運動機能や感覚機能だけでなく、自律神経系にも影響を与える場合があります。

 

例えば、頚椎に近い部位の損傷では腕や下肢に影響が出やすく、胸椎以下の損傷では主に下半身に影響を及ぼします。

 

損傷がどの高さで発生したかにより患者の障害の範囲が決まるため、MRIやCTスキャンなどの画像診断を用いて正確な評価が行われます。

また、脊髄損傷への対応には適切なリハビリや医療措置が重要で、早期の治療が後遺症の軽減に繋がることがあります。

 

脊髄損傷の原因と発生状況

脊髄損傷は、交通事故による強い衝撃や外傷が原因で発生することが多いです。

具体的には、車両衝突時に頭部や背中に大きな力がかかり、脊髄が圧迫されたり損傷したりすることで生じます。

 

また、転倒による高所からの落下や直接的な打撃でも脊髄損傷が引き起こされることがあります。

 

交通事故はその中でも特にリスクが高く、被害者が後遺障害として終生の影響を受ける可能性があります。

 

 

脊髄損傷による症状とその影響

脊髄損傷の症状は、損傷部位や程度によって大きく異なり、それが日常生活に及ぼす影響も様々です。

 

完全損傷と部分損傷の違い

脊髄損傷は、その程度によって「完全損傷」と「部分損傷」に分類されます。

 

完全損傷とは、運動機能や感覚機能が完全に失われた状態を指します。

この場合、脊髄を通じた神経伝達が完全に遮断され、該当部位以下の身体部位における運動や感覚がなくなります。

 

一方、部分損傷(不完全損傷)は、神経機能が一部残存している状態です。

具体的には、動かせる範囲や感覚が限定的ながらもある程度機能が維持されています。

この違いは後遺障害等級の認定にも大きく影響するため、医師による正確な診断が必要です。

 

 

後遺障害等級認定の基礎知識

自賠責保険による後遺障害等級認定基準

後遺障害等級認定の概要

後遺障害等級認定とは、交通事故の被害者が負った後遺症について、その損傷の程度や日常生活への影響を評価し、等級を付ける制度です。

交通事故の場合は自動車損害賠償保障法施行令 別表第1及び別表第2に定めのある後遺障害等級表に当てはめて認定することが多いです。

 

 

この等級は損害賠償額や保険金の算定基準として使用され、適正な賠償のために非常に重要な役割を果たします。

 

特に、脊髄損傷の場合、麻痺の範囲や程度によって詳細な評価が行われる必要があります。

 

脊髄損傷における主要な後遺障害等級

脊髄損傷による後遺障害等級は、損傷部位や麻痺の程度に応じて1級から12級までに分類されます。

 

  • 別表第一 第1級1号「脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」
  • 別表第一 第2級1号「脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」
  • 別表第二 第3級3号「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、脊髄症状のために労務に服することができないもの」
  • 別表第二 第5級2号「脊髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないもの」
  • 別表第二 第7級4号「脊髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの」
  • 別表第二 第9級10号「通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」
  • 別表第二 第12級13号「通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、多少の障害を残すもの」

のいずれかの等級(もしくは非該当)という認定になります。

 

各等級が認定される場合の例や具体的な条件については以下の記事をご覧ください。

 

等級認定の申請手続きと注意点

後遺障害等級の認定を受けるためには、診断書をはじめとした医療記録を整え、保険会社を通じて申請する必要があります。

 

脊髄損傷の場合には、

  • 麻痺の程度や範囲
  • 介護の要否や程度
  • その他神経因性膀胱障害(排尿障害)や脊柱の障害、体幹骨の障害等の状況
  • CTやMRI等の画像所見により上記症状があることを医学的に裏付けられるか

と言った点で審査がされます。

 

残っている症状の程度でどの等級に該当するかが決まりますから、

身体に残っている症状を適切に審査してもらえるような書類を用意することが不可欠です。

 

脊髄損傷の場合で後遺障害等級認定の申請をする場合には、どのような場合でも提出する後遺障害診断書の他に、

「脊髄症状判定用」の別紙の添付が必要となります。

 

後遺障害診断書の記載はもちろんですが、この「脊髄症状判定用」の別紙の記載も極めて重要になります。

 

この「脊髄症状判定用」の別紙は、日常生活における支障や介護の必要性などを記載する欄がありますから、

作成時に主治医に適切にそれらを伝える必要性もあります。

 

症状固定付近で弁護士に相談し、弁護士のサポートを受けながら主治医に書類の作成を依頼することをお勧めします。

 

 

適正な賠償の取得方法

慰謝料と損害賠償の項目一覧

交通事故により脊髄損傷を負った場合、被害者は多岐にわたる損害賠償を請求することが可能です。

逆に言えば、本来であれば請求可能である費目について請求漏れが生じる可能性もあります。

 

以下は脊髄損傷を負った場合に請求できる費目の例ですが、

被害者の方お一人お一人にとって適切な損害賠償を得るためには専門の弁護士に相談することをお勧めします。

など

以下は重度の障害が残ってしまうような場合等に請求が可能です。

  • 近親者の慰謝料
  • 将来治療費
  • 将来雑費
  • 将来介護費
  • 後見等関係費用
  • 自動車・家屋改造費、転居費用
  • 付添看護費用

など

 

詳しいサポートについては以下のページをご覧ください。

 

賠償金額を最大化するための交渉術

適正な賠償金を得るためには、保険会社との交渉が重要ですが、

重度の脊髄損傷が生じたような場合には損害賠償金額が数億円に上ることもあり、

保険会社の決済が下りずに裁判にならざるを得ないこともあります。

 

保険会社との交渉もそうですが、裁判において将来介護費や家屋改造費、後遺症逸失利益などを認めさせるためには、

実際の日常生活における支障を示す証拠を提示することが重要です。

 

具体的な支障を提示するために住居の写真を撮ったり、実際に使用している様子を動画で撮影したりといった、

その被害者の方個人の生活態様を見てもらうことが大いに役立つ場合があります。

 

後遺障害等級ごとの賠償相場

後遺障害等級に応じた賠償金額は、等級が低くなるほど高額になります。

例えば、脊髄損傷による完全麻痺の場合は1級や2級に該当する可能性が高く、その場合の賠償金額は数千万円から1億円を超えることもあります。

 

一方、部分的な損傷で等級が10級や12級と低い場合は、数百万円程度となることが一般的です。

この等級認定の基準や賠償相場については弁護士が詳しく把握しているため、専門家のサポートを受けるのが最善です。

 

脊髄損傷は専門弁護士に相談しましょう

交通事故における脊髄損傷は、被害者の方のその後の生活に重大な影響を及ぼす可能性があります。

お金の問題ではないところももちろんありますが、被害者の方だけでなくそのご家族の方の将来の生活を支えていくためにも、

適切な賠償を受けることができないということは絶対に避けなければなりません。

 

脊髄損傷はその怪我の重大さから賠償金額が数千万円から数億円に上る可能性もあります。

しかし内訳をみると被害者の方お一人お一人の生活に則した緻密な証拠の積み重ねで成り立っています。

 

示談交渉ではまとまらないことも多いですから、

適切な賠償を受けるためには、交通事故被害を専門としている弁護士のサポートを受けることを強くお勧めします。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門としている弁護士が、

現地調査や医師の意見書の取り付けなどを積極的に行い、被害者の方が適切な賠償を得られるようサポートさせていただきます。

 

交通事故被害に遭い、お困りの方はぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士との初回無料の法律相談の流れについてはこちらのページから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。