後遺障害7級で得られる逸失利益とは?徹底解説!
2024.08.01
損害賠償請求
このページでは、後遺症被害を専門とする弁護士が、
後遺障害7級の逸失利益などについて解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、後遺症被害を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。
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後遺障害7級とは?
後遺障害7級とは、交通事故などで障害を負い、身体機能や生活に著しい支障が生じる状態を指します。
損害賠償請求実務においては、事故で怪我をした後、一定程度の治療を続けたにもかかわらず、
それ以上良くならない状態になることを「症状固定」といい、
この「症状固定」の時点で身体または精神に残存している症状のことを「後遺障害(後遺症)」と呼んでいます。
ところで、実際のところ被害者の方のお一人お一人の症状は千差万別である中で、その損害を金銭で評価するわけですが、そうなるとどうしても一定の基準が必要となります。
そのために設けられているのが後遺障害等級であり、後遺障害7級はその1つということになります。
交通事故の場合、後遺障害等級は自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に規定されている14の等級が用意されています。
数字が小さければ小さいほど重い後遺障害と判断され、後遺障害7級は上で見たように、身体機能や生活に著しい支障が生じる状態と認められる場合に認定される等級です。
では実際にその後遺障害7級の認定基準を見ていきましょう。
後遺障害7級の認定基準
後遺障害7級の認定基準は以下のとおりです。
眼の障害
- 第7級1号 1眼が失明し他眼の視力が0.6以下になったもの
耳の障害
- 第7級2号 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
- 第7級3号 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
神経系統の機能または精神の障害
胸腹部臓器及び生殖器の障害
- 第7級5号 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- 第7級13号 両側の睾丸を失ったもの
上肢の障害
- 第7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
手指の障害
- 第7級6号 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
- 第7級7号 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
下肢の障害
- 第7級8号 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
- 第7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
足指の障害
醜状障害
これらの後遺障害等級の認定基準に基づき、適切な補償を受けるためには、後遺障害診断書や証拠書類が非常に重要です。
専門家の助けを借りて、正確な情報を提供することが認定を受ける際のポイントとなります。
後遺障害診断書について弁護士に相談した方が良い4つの理由とは?
逸失利益とは
逸失利益とは、本来得られるはずであったのに、交通事故などで被害者が負った後遺障害によって働きにくくなり、将来にわたって得られなくなった収入のことを指します。
特に後遺障害等級が7級のように比較的重度の障害に該当する場合、その影響は大きくなります。
日常生活や労働に大きな支障が将来にわたって残り続けるわけですから、お金で片づけられる問題ではありません。
しかしながら、金銭賠償が原則である現行民法において、損害賠償金の大半を占めることになりやすい逸失利益の適切な請求は、被害者の経済的な損害の回復にとって非常に重要です。
一般的な計算方法
逸失利益の計算方法は複数の要素を考慮に入れた複雑なものとなります。一般的には、以下の4つの要素が重要です。
基礎収入の計算
被害者の事故前の収入を基に計算します。給与明細や確定申告書などが参考資料となります。
労働能力喪失率の算定
これにより、後遺障害がどの程度の労働能力を喪失させるかが数値化されます。
後遺障害7級の場合、通常は労働能力喪失率が56%とされています(労働能力喪失率表より)。
労働能力喪失期間の設定
交通事故損害賠償請求において一般的な基準として用いられる『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準 上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)においては、
労働能力喪失期間は原則として症状固定時の年齢から67歳までの期間とされています。
また、先述の『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準 上巻(基準編)』の中では、
「但し、労働能力喪失期間の終期は、職種、地位、健康状態、能力等により上記原則と異なった判断が為される場合がある。」とされています。
この記載のもと実際に労働能力喪失期間の終期が67歳とは異なる計算がされることは少ないですが、
細かい計算方法や事例に応じた具体的な金額は、弁護士や専門家と相談して正確に算定することが推奨されます。
労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数の適用
逸失利益の計算では、将来の収入減少分を現在価値に引き直して算出します。その際に使用されるのがライプニッツ係数です。
後遺障害7級の逸失利益の計算方法
逸失利益を算出する際に使用する基礎収入は、被害者の年収を基に計算されます。
通常は事故前年度の収入を基準としますが、
被害者の特性(年齢・職業・性別等)により厚生労働省の賃金構造基本統計調査の結果(いわゆる賃金センサス)から平均賃金を基礎収入として採用する場合があります。
後遺障害7級の逸失利益の具体的な計算事例
ここでは具体例として症状固定時30歳の男性(サラリーマン、年収500万円)の場合を考えてみます。
この方が事故に遭い、後遺障害7級の認定を受けた場合、基礎収入は500万円、労働能力喪失率は56%、労働能力喪失期間は37年でそれに対応するライプニッツ係数は22.1672ですから、
この方の逸失利益は、500万円×56%×22.1672=6206万8160円となります。
こういった形で、逸失利益の計算自体は比較的簡単に行うことができます。
ただし、そもそも後遺障害7級の認定を得たり、適切な証拠を揃えたりできなければこのような数字になりません。
弁護士に依頼することで、請求手続きが円滑に進むだけでなく、慰謝料や逸失利益の額が増加する可能性も高まります。
当事務所の解決事例
当事務所では治療段階から事件解決まで被害者の方をサポートすることで、適切な後遺障害等級を獲得し、適切な賠償金を受け取ることができるよう尽力しています。
事前認定12級⇒後遺症専門弁護士の異議申し立てで何級まで上がる?
この事例は異議申し立てにより後遺障害7級を獲得した事例で7000万円近い増額に成功した事例です。
この事例のように、当事務所は後遺症被害を専門とする法律事務所として被害者の方により良い解決をお届けできるよう尽力しています。
後遺障害7級の慰謝料の金額
後遺障害7級に認定されると、被害者は逸失利益だけでなく、慰謝料も請求することができます。
慰謝料の金額は、重い損害を受けた精神的苦痛を補償するものです。
交通事故などで後遺障害7級に該当する状況となった場合、自賠責基準に基づく慰謝料は、逸失利益と併せて上限で1051万円となります。
また、相手方任意保険会社の基準も、この1051万円と同じか少し高いくらいになります。
しかし、弁護士に依頼した場合に用いられる、いわゆる裁判基準(弁護士基準)は、慰謝料だけで1000万円が一つの目安です。
さらにこれとは別に、今まで見てきたような計算で求められる逸失利益を請求することができます。
弁護士に依頼することで、相手方との交渉がスムーズになり、ストレスから解放されるだけでなく、賠償金額が大きく増加する可能性もあります。
専門知識を持つ弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。
まとめ:後遺障害7級で適切な逸失利益を獲得するためには弁護士に相談しましょう
ここまで見てきたように、後遺障害7級で適切な逸失利益を獲得するためには、まず後遺障害7級を獲得することが何よりの前提です。
身体に残っている後遺症を適切に等級認定してもらえず、結果として適切な逸失利益を獲得することができないという事態は絶対に避けなければなりません。
そのうえで、後遺障害7級を獲得できた場合には、逸失利益や慰謝料だけでなく、その他の損害も含めて適切に金額を主張し、交渉をする必要があります。
泣き寝入りしないためにも、後遺障害7級で適切な賠償金を獲得するためには、後遺症被害を専門とする弁護士への相談をおすすめします。
弁護士法人小杉法律事務所では、後遺症被害を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。
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