【弁護士解説】スマホ「ながら運転」の交通事故6人死亡 なぜ求刑は「拘禁刑7年」が上限なのか
2026.09.17
損害賠償請求

2026年3月20日、三重県亀山市の新名神高速道路で、大型トラックが渋滞の最後尾に追突する事故が起きました。
この事故で、5歳・8歳・11歳の3人のお子さんを含むご家族5人と、別の車に乗っていた男性1人の、合わせて6人の命が失われています。
(参照FNNプライムオンライン「「ながら運転の枠では片付けられない」元トラック運転手の女に拘禁刑7年求刑 過失運転致死罪で最も重い求刑【新名神6人死亡事故】)
津地方裁判所で9月10日に開かれた公判では、
検察官は「携帯電話の画面に脇見をしながら、時速およそ82キロで走行していた」と指摘し、被告人に拘禁刑7年を求刑しました。
判決は10月20日に言い渡される予定です。
報道に接した多くの方が、「6人も亡くなっているのに、なぜ7年が上限なのか」という疑問を抱かれたのではないでしょうか。
このページでは、交通死亡事故被害を専門としている弁護士大澤健人が、
- 刑事責任の枠組みとその限界
- ご遺族が行う損害賠償請求の実務
- ご遺族が刑事手続に関わるための制度
を、条文と判例に即して整理しつつ解説します。
何が起きたのか—事故と裁判の経過

まず、報道されている事実関係を時系列で確認します。
| 2026年3月20日 | 三重県亀山市の新名神高速道路で、大型トラックが渋滞の最後尾に追突。乗用車の一家5人(45歳の父親、42歳の母親、11歳・8歳・5歳の子ども3人)と、56歳の男性の計6人が亡くなる。 |
| 起訴 | トラックを運転していた55歳の女性が、過失運転致死罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)で起訴される。 |
| 6月10日(初公判) | 被告人は起訴内容を認める。検察官は、動画のスクリーンショットを撮ろうとして約13秒間の脇見をしていたと主張。 |
| 9月10日(論告求刑) | 検察官が「非常に危険で悪質」「脇見は瞬間的なものではなく、交通規範意識の欠如は甚だしい」として、拘禁刑7年を求刑。 |
| 10月20日 | 判決言渡しの予定。 |
【刑事編】加害者はどのような罪に問われるのか

起訴罪名は「過失運転致死罪」
今回の起訴罪名である過失運転致死傷罪は、自動車運転死傷行為処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)5条に定められています。
自動車の運転上必要な注意を怠って人を死傷させた場合に成立する犯罪で、
法定刑は7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(傷害が軽いときは情状により刑を免除することもできます)。
| 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。 |
今回問題になっているのは、運転者が負う最も基本的な義務である「前方を注視し、進路の安全を確認しながら運転する義務」(前方注視義務)の違反です。
約13秒間もの脇見という主張が事実であれば、時速82キロでは走行距離にして約300メートルを、前を見ないまま進んだ計算になります。
なぜ6人が亡くなっても上限が7年なのか
ここが最も誤解されやすい点です。理由は刑法の「罪数処理」のしくみにあります。
① 6つの罪は「観念的競合」になる
1回の脇見運転という「一個の行為」で6人を死亡させた場合、被害者ごとに過失運転致死罪が成立します。
しかし、これらは一個の行為が数個の罪名に触れる関係にあるため、刑法54条1項前段の観念的競合として扱われ、「その最も重い刑により処断する」ことになります。
同じ罪名が6つ並ぶ場合であっても、これによって法定刑の上限が引き上げられることはありません。
| 刑法54条1項前段
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。 |
② 併合罪加重が働かない
仮に別々の機会に起こした複数の事故であれば、併合罪(刑法45条・47条)として長期を1.5倍にする加重があり得ます。
しかし一個の事故である以上、この加重は適用されません。
結果として、亡くなった方が1人であっても6人であっても、宣告できる刑の上限は7年で変わらないということになります。
今回の「拘禁刑7年」という求刑は、検察官が法律上可能な最も重い求刑をしたことを意味します。
法制度の限界
「求刑7年」は検察官が本件事故を軽く見ているわけではなく、むしろ最も重いと考えているからこそです。
他方で、
| 犠牲者の人数を刑に反映させる仕組みが現行法には用意されていない |
という現状があります。
ここに、ご遺族が納得しがたさを感じる構造的な理由があります。
「危険運転致死傷罪」はなぜ適用されないのか

より重い危険運転致死傷罪(同法2条:致死は1年以上の有期拘禁刑=上限20年/同法3条:致死は15年以下の拘禁刑)が適用されないのか、
とお考えの方もいらっしゃると思います。
結論から言うと、本件について危険運転致死傷罪の適用は極めて難しいと考えられます(検察も同様の見解から過失運転致死傷罪での起訴とせざるを得なかったのだと思われます。)。
その理由は条文にあります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条では、以下の行為に当てはまる場合にのみ危険運転致死傷罪の適用になるとしています。
- アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる
- その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる
- その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる
- 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する
- 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する
- 高速自動車国道又は自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる
- 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する
- 通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条では、以下の行為に当てはまる場合にのみ危険運転致死傷罪の適用になるとしています。
- アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させる
- 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させる
お分かりいただけるように、「スマートフォンを見ながらの運転」(いわゆるながら運転)は危険運転致死罪の適用になるどの行為にも当てはまりません。
前をまったく見ていなかったという点で危険性は極めて高いのですが、現行の法律では危険運転致死罪の適用にすることができないのです。
裁判所も危険運転致死傷罪の成立範囲を狭く解していると思われる
福岡高等裁判所令和8年1月22日判決(大分・時速194キロ事件)
この高裁判決では、制限速度60キロの一般道を時速約194キロで走行して死亡事故を起こした事案について、
危険運転致死罪を認めた一審(懲役8年)を破棄し、過失運転致死罪(懲役4年6月)に変更されました。
危険運転致死罪にいう「進行を制御することが困難な高速度」とは、
「速度が速すぎるため、自車を道路の状況に応じて進行させることが困難な速度をいい、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の形状、路面の状況などの具体的な道路の状況、車両の構造や走行性能等の客観的な事実に照らし当然に、あるいは、ハンドルやブレーキの操作の僅かなミスによって、自車を進路から逸脱させて事故を発生させることになるような速度」
であり、本件についてみると、加害者が運転していた車両が最高時速250㎞を想定したBMW「M235i」であったことなどを考慮して、危険運転致死傷罪の成立を否定したのです。
このように、危険運転致死傷罪の成立範囲は極めて狭く解されていると思われます。
他方で、福岡高等裁判所自身も、
- 日常用語としての「危険な運転」であることは明白
- 均衡のとれた処罰が実現できていない懸念もあると言わざるを得ない
- 立法的手当てによって対応すべき事柄
と述べており、法改正による解決を図るべきであると示していました。
2026年7月の危険運転致死傷罪の改正は今回の事故に影響する?
2026年7月21日、先ほど見た福岡高等裁判所の判決や世論の動向なども踏まえ、改正自動車運転死傷処罰法が施行されました。
具体的には、アルコール濃度はいくつからなのか、高速度とは具体的に時速何㎞からなのか等についての数値基準が導入され、
ドリフト行為についても規定がされました。
他方で、今回の事故で問題となっている「ながら運転」に関しては、今回の改正でも危険運転致死傷罪の適用であるという明示はされませんでした。
また、仮に明示がされていたとしても、本件事故は改正前に発生した事故ですから、遡及適用ができず、本件事故については過失運転致死傷罪の適用にならざるを得ません。
道路交通法上の「ながら運転」規制と行政処分

刑事責任とは別に、道路交通法71条5号の5が運転中の携帯電話の通話・画面注視を禁止しています。
| 道路交通法第71条5号の5
車両等の運転者は、次に掲げる行為を守らなければならない。 5号の5 自動車、原動機付自転車又は自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第四号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第四号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。 |
道路交通法第117条の4の2にて「一年以下の拘禁刑又は三十万円の罰金に処する」とされています。
ただし、本件事故からすれば極めて軽い法定刑ですし、前述のとおり観念的競合となるため、7年を超えることはできません。
量刑の見通し——参考になる裁判例
今回の判決を考えるうえで参考になるのが、大津地方裁判所平成30年3月19日判決です。
この事件は、高速道路で大型トラックを運転していた被告人が、
スマートフォンのアプリ操作などで約10秒間の脇見をしたまま時速約80キロで渋滞の最後尾に追突し、1人を死亡させ4人に怪我をさせたというもので、今回の事故と構造がよく似ています。
検察官の求刑は禁錮2年でしたが、裁判所は「通常の過失態様を逸脱する運転」であるとして、求刑を上回る禁錮2年8月の実刑を言い渡しました。
控訴審(大阪高裁平成30年10月4日判決)もこれを維持しています。
今回の事故は、これと比べても脇見の時間が長く(約13秒)、犠牲者は6人にのぼります。
求刑がすでに法定刑の上限である以上「求刑超え」はあり得ませんが、実刑判決となる可能性は高いと考えられます。
【民事編】ご遺族の損害賠償請求

刑事裁判は「国が加害者を処罰する手続」であり、ご遺族が受けた損害の回復はここでは行われません。
賠償を求めるには、別に民事の手続をとる必要があります。
誰に請求できるのか—請求の相手方は一人ではない
業務中のトラック事故ということで、民事損害賠償請求の相手は複数考えられます。
運転手本人
運転していた本人は、当然に不法行為責任(民法709条)に基づき、直接の加害者として損害賠償義務を負います。
| 民法709条故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 |
運転手の勤務先
運転手が業務中に起こした事故であるため、使用者責任(民法715条)が問題となります。
業務執行中の事故であれば、雇用主である会社も連帯して賠償責任を負う可能性があります。
| 民法715条1 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。 2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。 3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。 |
車両の運行供用者
自動車損害賠償保障法(自賠法)3条に基づき、
車両を自己のために運行の用に供していた者(多くの場合、会社)も、運行によって生じた人身損害について責任を負います。
自賠法は被害者保護の観点から、運行供用者側に無過失の立証責任を課しており、被害者にとって立証のハードルが低い制度設計になっています。
| 自動車損害賠償保障法第3条自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。 |
請求できる損害の内訳
死亡事故のご遺族は、一般的には以下のような費目についての請求が可能です。
- 死亡慰謝料
- お亡くなりになるまでの治療費・入院雑費
- 駆けつけ交通費
- 葬儀関係費用
- 死亡逸失利益
死亡慰謝料とは、被害者が交通事故で死亡したことによる精神的苦痛に対する賠償金です。
死亡慰謝料には以下の2種類があります。
被害者本人の慰謝料(相続分)
被害者本人は、交通事故により生命を奪われ、突然前途を絶たれ、未来を失い、
無念や憤りなど筆舌に尽くしがたいような苦痛を受けています。
被害者本人の死亡慰謝料の請求は当然に認められるべきであり、
その請求権は相続人に承継されることになります。
遺族固有の慰謝料
民法第711条に基づき、父母・配偶者・子やこれに類するような関係性を持つ方に認められるものです。
大切な方を亡くしたという精神的苦痛についても慰謝料が認められなければなりません。
また、今回ながら運転が13秒という長時間にわたっていたことなどを踏まえて、慰謝料を増額すべきであるという主張も可能かもしれません。
その他の費目についての解説は以下のページをご覧ください。
- 関連記事:交通事故で死亡した被害者の遺族がすべき手続きは?加害者への損害賠償請求やその後について解説
- 関連記事:死亡事故の賠償金はいくら?保険金も受け取れる?平均相場・保険の仕組みについても解説
- 関連記事:交通事故の死亡慰謝料や賠償金の平均相場は?裁判基準以上の慰謝料を獲得するためのポイント【被害者専門弁護士解説】
- 関連記事:死亡逸失利益とは?計算方法や相場・高齢者の年金との関係を弁護士が解説
- 関連記事:交通事故がもたらす突然の別れ…葬儀費用とその対処法【弁護士解説】
また、今後の流れとしては、実務上は、刑事手続の進行(起訴・公判・判決)と並行して、任意保険会社との示談交渉が進められることが多いです。
ただし、刑事裁判への被害者参加を行うことで、過失割合の交渉に有利な証拠を得られることがあります。
その場合には、刑事裁判を経てから示談交渉を行った方が、結果的に受け取れる金額が増えるということになります。
刑事裁判と民事裁判は連動していますから、双方を意識しながら進めることが重要です。
ご家族が同時に亡くなられた場合の特有の問題
今回のようにご家族5人が同じ事故で亡くなられた場合、法律関係は一気に複雑になります。
同時死亡の推定(民法32条の2)
複数の人が死亡し、そのうちの一人が他の人の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は同時に死亡したものと推定されます。
そして、同時に死亡したと扱われる者の間では、相互に相続が発生しません。
したがって、亡くなられたお父様・お母様・お子さん3人それぞれに発生した損害賠償請求権は、互いに相続されることなく、
それぞれの相続人(多くの場合、祖父母やご兄弟)に承継されることになります。
死亡の先後によって相続人と取り分が変わり得るため、死亡時刻の認定が争点になることもあります。
近親者固有の慰謝料(民法711条)
被害者の父母・配偶者・子は、相続とは別に、自分自身が受けた精神的苦痛について慰謝料を請求できます。
判例は、これに準ずる密接な身分関係にある方(同居の祖父母や内縁の配偶者など)についても、711条の類推適用を認めています。
ご遺族が刑事裁判に関わることができる被害者参加制度とは?

従来、刑事裁判というのは、
- 被告人(加害者)
- 検察官
- 裁判官
の3者で行われており、被害者は参加することができませんでした。
しかしながら、平成19年の刑事訴訟法の改正で、「被害者参加制度」が設けられ、
被害者やご遺族が直接刑事裁判に参加し、被告人に質問したり、心情意見の陳述をしたり、証人の尋問をしたり、論告意見を述べたりすることができるようになりました。
今回の事故では既に刑事裁判が進行していますが、ご遺族の方も被害者参加・心情意見陳述を行われています。
被害者参加人の心情意見陳述の内容は、量刑に影響を与えたり、判決文の中でも触れられたりすることがあるため、
弊所にお問い合わせいただいた方には、被害者参加制度の利用を推奨しております。
弊所弁護士前田和基が被害者参加代理人を務めた事件でも、今回の事故のようにスマートフォン操作(通話)をしながらダンプカーを運転していた加害者(過失運転致傷罪で起訴)に対し、
禁固2年4月の実刑判決の言い渡しを受けた事件がございます。
過失運転致死傷罪は、危険運転致死傷罪と比較するとどうしても悪質性が低いと判断される傾向にあり、
実刑判決の言い渡しを受けることはそう多くはありませんが、被害者参加制度の利用が奏功した事例であると言えます。
その他弊所弁護士が被害者参加代理人を務めた事件で実刑判決を得た事例も複数ございます。
- 関連記事:刑事裁判参加サポート
- 関連記事:死亡事故刑事裁判への被害者遺族の参加(弁護士小杉晴洋の講演内容抜粋)
- 関連記事:刑事事件に被害者参加し、執行猶予4年、禁固1年半の実刑判決を獲得。 民事では合計約9000万円の賠償を獲得して示談で解決した事例
- 関連記事:学生の死亡事故で、刑事裁判に被害者参加し禁固1年の実刑判決を獲得、民事裁判では被害者過失を2割に減少させ、約9600万円の賠償を受けた事例
- 関連記事:【死亡事故】過失運転致死罪で加害者に実刑判決|死亡慰謝料増額での示談解決
ここまでみてきたように、被害者参加制度利用の最大のメリットは、なんといっても刑事裁判の場で実際に意見を述べられることですが、
刑事裁判で述べた意見や提出された証拠は、民事裁判で用いることができます。
慰謝料の算定に当たっては、被害者やご遺族が受けた心痛が大きな影響を与えますから、それを刑事裁判で述べた証拠が残るというのは極めて大きいです。
また、過失割合の検討に当たって、刑事裁判の証拠は極めて有用になります。
このように、刑事裁判と民事裁判は連動しますから、損害賠償請求を考えたうえでも、刑事裁判の行く末は非常に重要です。
まとめ

今回の「拘禁刑7年」という求刑は、過失運転致死罪の法定刑の上限であり、検察官が法律上可能な最も重い求刑をしたものです。
犠牲者が6人であっても、観念的競合(刑法54条1項)の処理により、刑の上限は変わりません。
現行法では、「ながら運転」を危険運転致死傷罪等、その他の刑罰に処することはできません。厳罰化は立法上の課題として残されています。
裁判所がどのような判断をするのかは今後同様の事故が仮に起こってしまった際にも大きな影響を与えるでしょう。
判決は10月20日に言い渡される予定です。
※本記事は2026年9月11日時点の報道内容に基づく一般的な法律解説であり、
個別の事案についての法的助言ではありません。実際の対応にあたっては、弁護士等の専門家にご相談ください。

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