交通事故コラム

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被害者必見:保険会社に負けない示談金交渉術完全ガイド

2025.01.31

示談

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 示談交渉の基礎知識
  • 示談金を引き上げるための準備
  • 保険会社との交渉術
  • 弁護士に依頼した場合のメリット

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による賠償金無料査定サービスを行っております。

交通事故被害に遭い、示談金の交渉をはじめお困りごとをお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による賠償金無料査定サービスの詳細についてはこちら。

 

保険会社との示談交渉の基本知識

示談交渉とは?流れと基本ポイント

示談交渉とは、交通事故などのトラブル解決のため、当事者同士が話し合いで合意を目指す手続です。

この示談交渉はほとんどの交通事故の場合で被害者と加害者側の保険会社担当者との間で行われ、

発生した損害の大きさや慰謝料額、過失割合などを交渉していくことになります。

 

この際、事故状況や損害額の証拠を集めることや、提示された示談金額が適正かどうかの確認がポイントとなります。

被害者としては、冷静かつ計画的に進める姿勢が求められます。

 

加害者と保険会社の仕組みを理解する

示談交渉において、加害者側の保険会社が対応する仕組みを理解することは非常に重要です。

交通事故では、多くの場合、加害者が加入する任意保険会社が窓口となります。

 

任意保険会社は加害者(を含む保険契約者)から保険料を受け取り、その一部を被害者に対して支払う保険金としています。

任意保険会社は被害者側に支払う保険金額が少なければ少ないほど、自社の利益が大きくなりますから、

被害者側に有利な示談提示をしてくることはまずありません。

 

被害者としては、保険会社が提示する金額が必ずしも適正とは限らないことを意識するべきです。

 

また、自賠責保険と任意保険、それぞれの補償内容や基準を把握しておくことも交渉を有利に進める上で役立ちます。

 

保険会社の目的と示談における注意点

保険会社では案件を「安く」「早く」解決する担当者が優秀であると評価されます。

そのため、示談交渉では被害者に対して低額な示談金を提示して、あの手この手で示談をまとめようとしてきます。

 

高圧的な態度で低額での示談を迫ってくることもあれば、優しい態度で「この人に任せておけば大丈夫だ」と思わせることもあるでしょう。

 

被害者として注意したいのは、「早期解決」を理由に提示額を安易に受け入れないことです。

保険会社の提示額が被害者側からみて適切な基準で計算された金額であることはまずありません。

 

また、示談書にサインをするとその内容は原則として二度と覆すことができなくなるため、慎重に内容を確認する必要があります。

保険会社に負けないためには、交渉の事前準備と冷静な対応が不可欠です。

 

示談金を最大限に引き上げるための準備

自賠責保険による高次脳機能障害の審査

主張を的確に補強する証拠の収集

示談金を最大限に引き上げるためには、交渉の土台となる「証拠」の収集が何より重要です。

証拠に戻づく主張でなければ示談交渉のプロである保険会社担当者からは一蹴されるだけです。

 

的確な証拠を収集するためには、交通事故における示談金がどのような費目で構成されているのかを理解する必要があります。

 

交通事故における示談金は、

  • 積極損害
  • 消極損害
  • 慰謝料

の3つに大別されます。

 

積極損害

積極損害とは、事故に遭ったことで余計に支出せざるを得なくなった損害を言います。

代表的なものとしては、治療費通院交通費、装具費用、介護費用などです。

 

この積極損害は、支出せざるを得なくなった実費について、因果関係が認められる範囲で支払われるため、

「なぜこの支出が必要となったのか」と「いくら支出する必要になったのか」という必要性・相当性を示す証拠が必要となります。

 

まず支出した額を示すために「領収証」が必須です。事故後の支出については一つ一つ領収証を保管しておきましょう。

そのうえで、例えば公共交通機関ではなくタクシーを利用して通院した場合などは、

「足を骨折していたので公共交通機関の利用が困難であった」というように、タクシー利用が必要であった理由を示す必要もあります。

 

また、治療が必要であったことを示すための医師の診断書なども必要になりますね。

 

消極損害

消極損害とは、本来得られずはずであったのに事故に遭ったことによって得られなくなった損害をいい、

休業損害と逸失利益が該当します。

 

休業損害が症状固定まで、逸失利益が症状固定以後という捉え方で問題ないです。

 

休業損害や逸失利益の請求に必要な証拠は、

  • その人が事故前はいくら稼ぐ能力があったのか(事故に遭わなければどれだけ稼げていたのか)
  • 事故によりどれだけの能力を失ったか

を示すことができる証拠になります。

 

「その人が事故前はいくら稼ぐ能力があったのか」は、事故前の年収を示す源泉徴収票や確定申告書などが基本になるでしょう。

事故時主婦であった場合には、主婦業を行っていたことを示す証拠として家事従事者自認書や住民票の提出などが有用になります。

 

 

事故時無職であっても就労の意欲及び蓋然性があれば休業損害や逸失利益の請求が認められる場合もありますから、

なぜ事故時無職だったのかや、就労に向けて何をしていたのか(ハローワークを訪れた実績など)などを示すことで、請求の根拠となります。

 

 

「事故によりどれだけの能力を失ったか」については、

会社員であれば休業損害証明書を会社に作成してもらうことで、事故により休業した日について本来であればいくら給料を支払ってもらえるはずであったのにもらえなかったということを示すことができます。

また、示談交渉の段階で事故前と事故後の能力の変化が実際に収入の差として表れていればそれをそのまま用いて休業損害の請求とすることができるでしょう。

 

とはいえ示談交渉の段階で事故後の年収が把握できることは決して多いわけではないですから、

その場合は傷害の程度や入通院の日数、具体的な本人の陳述などを基に決めていくことになります。

 

そして、示談交渉以後将来にわたっての収入減少について言及する逸失利益については、

「事故によりどれだけの能力を失ったか」という点について明確かつ平等な基準が必要となります。

 

この基準として交通事故の示談交渉において極めて有用な証拠となるのが自賠責保険により認定された「後遺障害等級」です。

 

そもそも逸失利益とは、交通事故により将来にわたって影響を及ぼす症状=後遺症が残ってしまったことにより得られなくなった利益をいいますが、

この後遺症の程度や、日常生活に与える支障は、人によって千差万別です。

それでは逸失利益の金額を平等に算定することができませんから、後遺症を14の等級に当てはめて判断することにし、設けられたのが「後遺障害等級」です。

 

後遺障害等級の認定を経ずに加害者側保険会社に対して逸失利益の請求をしても法律上問題があるわけではないですが、

加害者側保険会社としても、「本当に後遺症が残っているのか?」「残っているとしてその後遺症はどの程度の支障があるのか?」という点に対しての証拠が一切ない状態で逸失利益の認定はできません。

 

示談交渉をスムーズに行うためにも、逸失利益の請求にあたっては後遺障害等級認定を経てから交渉に進むことが重要です。

(裏の事情として、加害者側任意保険会社は自賠責保険に対して認定された後遺障害等級に応じて一部求償を行うことができるため、

自賠責保険の認定は特に加害者側任意保険会社に対しては強い証拠となります。)。

 

 

慰謝料

慰謝料は、交通事故被害に遭ったことで被害者やその近親者の方が受けた精神的苦痛に対して支払われるものです。

 

慰謝料についても3つに分けられ、

  • 入通院慰謝料
  • 後遺症慰謝料
  • 死亡慰謝料

について請求することが可能です。

 

入通院慰謝料は、その名のとおりで入通院の期間によって金額が決まります。

また、傷害の部位や程度、手術回数の多さやギプス固定の有無などによって基準以上の増額が認められることがあります。

 

加害者側保険会社による治療費一括対応が行われている場合は、加害者側保険会社も傷害の部位や程度などは把握しているため、

ここは証拠というよりはこれらの事情があれば慰謝料の増額が主張できるという知識の方が必要かもしれません。

 

 

後遺症慰謝料は、被害者の方の身体に残ってしまった後遺症の程度によって金額が決まります。

後遺症の程度によって金額が決まるというのは先ほども逸失利益で出てきたと思いますが、

この後遺症慰謝料についても逸失利益と同様で認定される「後遺障害等級」に応じて金額が決定されます。

 

適切な後遺症慰謝料の請求にはまずは適切な後遺障害等級の認定を得ることが重要となります。

 

 

死亡慰謝料は、被害者の方の属性によって金額が変動します。

被害者の方が一家の支柱と評価される場合は2800万円

被害者の方が母親、配偶者と評価される場合は2500万円

被害者の方が独身の男女、子供、幼児等と評価される場合は2000万円~2500万円

 

が一つの目安とされています。

但しこれはあくまで目安であり、主張次第で金額が大きく変動する所でもあります。

 

死亡事故の場合には刑事裁判への被害者参加を行い、心情意見陳述を行うことでその陳述書を民事で利用することなども有用になります。

詳しくは以下のページをご覧ください。

 

 

示談金の基準を理解する(自賠責・任意保険・裁判基準)

示談交渉では、示談金の「基準」を理解することが非常に重要です。

交通事故の示談金には主に3つの基準が存在します。

 

「自賠責基準」は最低限の保障を目的とするものであり、交通事故被害者が一定程度の補償を受けられるという点では有用ですが、

被害者にとっての適切な賠償とは程遠い基準になります。

 

 

「任意保険基準」は保険会社独自の計算方式であり、一般に加害者側保険会社が提示してくる示談金はこの基準で計算されています。

何度も出てきているように、任意保険会社は「安く」「早く」事件を終結させることに重きを置いていますから、

この「任意保険基準」での計算が被害者側にとって適切なことはほぼありません。

 

 

一方で「裁判基準」は弁護士基準とも呼ばれる基準です。

この裁判基準は過去の裁判例で裁判所が認定した損害額を基に算定された基準であり、最も高額かつ最も被害者にとって適切な基準であると言えます。

 

先ほどご紹介した慰謝料の計算はこの裁判基準に基づくものであり、

適切な交渉を進めていくためにはこの裁判基準を熟知しておく必要があります。

 

 

初動対応がカギ!事故直後に行うべきこと

交通事故後の初動対応は、後の示談交渉の行方を左右します。

 

まず、警察に通報して現場検証を行ってもらうとともに、交通事故証明書発行の手続をしてもらいましょう。

次に、相手方の連絡先や保険会社の情報を正確に確認します。可能であれば目撃者の証言をその場で録音するか連絡先を控えておきます。

 

また、自身の怪我が軽傷に見える場合でも、速やかに病院で診断を受けることが重要です。

事故日と初診日の間隔が空いてしまうと、本当にその症状は事故により生じたのか?最初は病院に行かなくて良いと判断したということは大した怪我ではないのではないか?

という疑念を持たれてしまいます。

この疑念を持たれると、加害者側保険会社は強気に低い提示をしてくる可能性もあります。

 

これらの行動を取ることが、示談交渉における交渉力を高める大きなポイントになります。

 

 

保険会社との交渉術:よくある手口と対策

保険会社が使う説得の手法

交通事故の示談交渉において、保険会社は被害者に低額な示談金で合意してもらうため、巧妙な説得手法を用います。

例えば、「この金額が相場です」「これ以上は増額できません」などと強調し、被害者にこれ以上交渉しても無駄だと思わせることがあります。

 

また、早期解決を勧める言葉で、被害者の心理的な疲労感を利用する場合も珍しくありません。

 

これらの説得手法に対応するには、冷静に事前の情報収集を行い、相手の言う「相場」や「基準」が必ずしも正当でないことを認識しておく必要があります。

特に、自賠責基準や任意保険基準、さらに裁判基準といった基準の違いを理解することで、保険会社の言葉に惑わされにくくなります。

 

示談金を正当に引き出すためには、具体的な根拠や証拠を提示し、論理的に対応することが重要です。

 

 交渉を主導するための交渉スキル

交渉を成功させるためには、被害者自身が交渉の主導権を握ることが欠かせません。

まず、自分が何を求めており、どのような根拠でその要求をしているのかを明確にすることが重要です。

 

事故の状況や被害の実態を正確に把握し、提出できる証拠を十分に準備しましょう。

 

また、保険会社に提示された金額にすぐに同意せず、交渉の場で必要な情報を引き出す努力も大切です。

 

一方で、交渉では過度な対立を避け、あくまでも冷静かつ論理的に話し合う姿勢を保つことが求められます。

保険会社に対して強い態度を示すことも必要な場合がありますが、それ以上に法律や基準に基づいて交渉を進める方が結果的に有利です。

 

また、話し合いが決裂するようであれば、弁護士に依頼して交渉を代行してもらう判断を下すことも交渉を主導する一環と言えます。

 

弁護士を活用した保険会社への対抗策

自力で交渉した場合と弁護士に依頼した場合との違い

交通事故の示談交渉を自分で行う場合と弁護士に依頼する場合には、大きな違いがあります。

 

自分で交渉する際は、証拠収集や賠償金額の計算など、多くの労力が必要です。また、保険会社の提示額が低くても反論する法的基盤が弱い場合があります。

一方、弁護士を介すれば、裁判基準に基づいた適正な示談金の交渉が可能になります。

 

特に、慰謝料や過失割合などで不当に低く見積もられるリスクを抑えることができます。

 

ただし、軽傷や物損の場合、弁護士費用がかかるため「費用倒れ」のリスクもあります。双方のメリットとリスクを考慮して選択するのが重要です。

 

 

弁護士費用特約の活用方法

ご自身が契約する保険に「弁護士費用特約」が含まれている場合、この特約を活用すれば実質的な負担ゼロで弁護士を依頼することが可能です。

この特約では、法律相談費用や実際の弁護士費用が一定の範囲内でカバーされるため、交渉のプロである弁護士を採用するハードルが下がります。

 

交通事故後、保険会社との交渉で不当な低額の示談提示を受けた場合や、手続きの複雑さに困った場合でも、この特約を利用すれば手厚いサポートを受けることができます。

また、適用条件として「被害者本人が加入している保険」だけでなく、「家族が契約した保険」に付帯されている場合でも利用可能なケースがあるため、一度確認することが大切です。

 

無料相談を活かして状況を整理する

弁護士事務所では、初回の無料相談を提供している事務所も多く存在します。

無料相談を通じて、現在の交渉状況や保険会社が提示している示談金額が妥当かどうかをプロの視点で判断してもらうことができます。

 

この機会を活用して、自分に有利な交渉術や進むべき手続きの方向性を整理することが重要です。

また、裁判基準に基づいた示談金の見積もりも提示してもらえるため、今後の交渉戦略を明確化できる効果が期待できます。

特に、加害者側の保険会社が冷静な交渉を妨げるような手口を用いてくる場合、弁護士から具体的な対抗策を教わることも可能です。

 

 

弁護士への依頼でより精度の高い交渉を

初回無料の相談でもメリットは大きいですが、弁護士、とりわけ交通事故被害を専門とするに依頼した場合にはさらに大きなメリットを得ることができます。

第一に、裁判基準を熟知した漏れの無い的確な請求を行うことができる点です。

 

交通事故被害を専門とする弁護士は、裁判基準を熟知し、

それぞれの被害者の方の状況に応じて可能な場合には裁判基準以上の請求を行ってくれます。

 

次に、適切な後遺障害等級の認定をサポートしてくれます。

先ほども見たように、適切な後遺障害等級認定は、交通事故で後遺症が残ってしまうような事案においては前提と言っていいくらい極めて重要になります。

交通事故被害を専門とする弁護士に依頼することで、後遺障害等級認定の申請に必要な後遺障害診断書の作成からサポートを受けることができ、

適切な後遺障害等級の認定可能性が高まります。

 

また、仮に1回目の申請でめあての後遺障害等級の認定が下りなかった場合には異議申立てなどを行う必要がありますが、

この異議申立ては後遺障害を熟知した弁護士かどうかで成功率が大きく変わります。

 

さらに、仮に示談交渉が決裂して裁判に移行するような場合でも、専門弁護士に依頼しておけばそのままスムーズに提訴や裁判手続を行ってくれます。

 

交通事故被害で示談交渉を進めていく場合には、専門弁護士に依頼することで大きなメリットを受けることができます。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

交通事故被害に遭い、示談交渉の進め方を始め疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談の流れについてはこちらから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。