慰謝料 治療費 積極損害 自転車事故 逸失利益
弁護士解説!自転車事故被害で適切な賠償金を獲得する方法
2025.01.13
このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 自転車事故被害と損害賠償請求
- 自転車事故の賠償金内訳と相場
- 自転車事故被害者側がとるべき行動
- 適切な賠償金を獲得するためのコツ
等について解説します。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による交通事故解決サポートを行っております。
自転車事故被害に遭われた方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による自転車事故被害解決サポートの詳細についてはこちら。
自転車事故の基礎知識
自転車事故が引き起こす主な被害とは
自転車事故は、そのスピードや状況によって軽傷から重大な被害までさまざまな結果を引き起こします。
主な被害としては、擦り傷や打撲などの軽傷から骨折や頭部外傷、ひいては死亡事故に至るケースもあります。
また、交通事故の被害者となった場合、身体的な痛みだけでなく、精神的な苦痛や経済的な損害も伴うことが多いです。
特に入院や通院、休業損害などが発生することで、生活に大きな影響を与えることがあります。
自転車事故における過失割合の考え方
自転車事故では、多くの場合、当事者の過失割合が問題となります。
過失割合とは、一言でいえば事故当事者が、事故発生に対してどれだけの責任を負うかを表した割合です。
民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。
これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。
例えば被害者に生じた損害が総額1000万円と評価される場合に、被害者の過失が10:加害者の過失が90という認定がされると、
被害者が加害者に対して請求できる金額は1000万円×(100%-自己過失分10%)=900万円ということになります。
このように、過失割合は実際に受け取ることができる賠償金額に大きな影響を与える重要な要素になるわけですが、
自転車事故における過失割合は検討が難しいこともあります。
自転車VS四輪車・単車のような場合にはある程度過去の裁判例等の蓄積により類型化された判断基準があったり、ドライブレコーダーがあったりするため、
比較的容易に過失割合の検討を進めることができます。
一方で自転車VS自転車の事故の場合には、ドライブレコーダーなどが無かったり、そもそも当てはまるような類型が無かったりすることが多く、
お互いの意見が対立して平行線を辿ることも多いです。
そういった場合には、事故当時の状況を示す証拠の有無が勝敗を分けますから、
被害に遭った場合には速やかに警察に報告したり、事故状況を写真で撮影したり、目撃者がいれば連絡先などを聞いておいたりすると良いでしょう。
損害賠償請求の基本的な流れ
自転車事故による損害賠償請求は、事故発生直後から始まります。
まず、事故後すぐに警察に届け出て交通事故証明書を取得することが必要です。その後、治療を受け、診断書を作成してもらいます。
交通事故証明書はまさに事故発生を証明する証拠として必要となりますし、
事故後速やかに診断を得て診断書を作成してもらっていないと、相手方から「事故日と初診日が離れているし、その怪我は本当に今回の事故で負ったものではないのではないか?」と言われるリスクが高まります。
その後はしばらく治療を続けていくことになります。
治療を続けていく中で完治するのがもちろん最も望ましいですが、場合によっては治療を続けても症状が良くならない状態に達することがあります。
この状態に達した時点を症状固定といい、この段階で残ってしまっている症状を後遺症と言います。
症状固定を迎えた場合には、主治医に後遺障害診断書を作成してもらうことで、
残存した後遺症を適切に評価してもらう準備を進めることになります。
相手方がバイクや自動車である場合は自賠責保険に加入しているはずなので、加害者加入の自賠責保険に対して後遺障害等級認定の申請をします。
相手方も自転車である場合には、個人賠償責任保険に加入している場合もありますが、無保険であることも考えられ、
その場合は作成してもらった後遺障害診断書を踏まえて自身で後遺障害等級の見立てを立てることになります。
適切な後遺障害等級の認定が得られた、または等級の見立てが立った場合には、
加害者(加害者側保険会社)に賠償金の請求を進めていくことになります。
何も主張しなくても加害者側から被害者にとって適切な提示が出るということはまずないといって良いため、
被害者側としては発生した損害について、もれなく適切に請求をすることが求められます。
後遺障害診断書の作成や損害の計算については知識を必要とされるため、専門弁護士に相談することでより適切な賠償金を得る可能性を高めることができます。
自転車事故の賠償金内訳と相場
賠償金の内訳
自転車事故では、被害者が負った損害に応じて様々な賠償金を請求することが可能です。
賠償金は大きく分けて「積極損害」「消極損害」「慰謝料」の3つで構成されます。
積極損害とは、事故に遭ったことにより余計に支出せざるを得なくなった損害を言い、
具体例としては治療費、通院交通費、入院雑費、装具費用、介護費用、葬儀費用などが含まれます。
この積極損害については、実際に要した費用(実費)の請求が認められることが多いため、
1つ1つの損害についてしっかりとレシートや領収証などを保管しておくことが重要です。
消極損害とは、事故に遭ったことにより、本来得られるはずであったのに得られなくなった利益(損害)を言い、
この消極損害については、事故前と事故後との比較により損害の大きさを推測していくことになるため、
事故前の収入を証明する資料などが必要となります。
また、逸失利益についてはその計算の中で出てくる労働能力喪失率が、後遺障害等級と連動して決定されるため、
適切な後遺障害等級の認定を得ることはとても大切です。
慰謝料とは、被害者が負った精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことです。
慰謝料の中にも
の3つがあります。
「入通院慰謝料」は基本的には文字どおり入通院の期間によって決まります。
「後遺症慰謝料」は認定される後遺障害等級によって金額に大きな差が生じるため、ここでもやはり適切な後遺障害等級の認定を得ることが重要になります。
「死亡慰謝料」は被害者の属性(一家の支柱であった、母親・配偶者であった、子供・独身者であったなど)によって数百万円程度の差が生じます。
ただし慰謝料の基準はあくまで目安ですから、
症状が重篤な場合や、事故前と比較して大きく日常生活が送りにくくなったなどといった個別具体的な事情を細かく立証していくことで、
弁護士基準以上の慰謝料が認定される場合もあります。
高額賠償事例から学ぶ
ここまで見てきたように、自転車事故による賠償金額は、被害者に発生した損害をもとに計算されます。
当たり前のことを言っているように感じられるかもしれませんが、加害者側が自転車であろうが自動車であろうが変わらないという点は重要です。
東京地方裁判所平成20年6月5日判決では、車道を自転車で直進していた事故当時24歳の男性が、歩道からその車道に自転車で進入してきた高校生と衝突して投げ出され、
頭部を強打して後遺障害等級1級に該当する後遺障害が残存した事案について、将来介護費や逸失利益、後遺症慰謝料などを併せて1億6000万円ほどの損害が発生したと認めています(過失割合が50:50と認定されたため、賠償請求が認められたのは半額の8000万円ほど、弁護士費用などを併せて合計で9000万円ほどでした。)。
自転車同士の事故であってもこれだけの損害が発生する可能性があります。
しかし、相手方が自転車である場合は、そもそも賠償責任保険に加入していなかったり、加入していたとしても上限があり満足な賠償を受けられないという可能性もあります。
このような場合には、自賠責保険や政府保障事業、犯罪被害給付制度などの利用も難しいため、強制執行などにより財産を差し押さえたりといった手続が必要となります。
泣き寝入りを防ぐためにも加害者側に賠償責任保険が無いかを探してもらうのが重要になります。
適切な賠償金を獲得するためのコツ
事故後すぐに対応すべきこと
自転車事故に遭った場合、まずは負傷の有無や状況を確認し、安全を確保することが最優先です。
その後、直ちに警察へ事故の連絡を行い、必要に応じて救急車の要請を行いましょう。
警察への届け出は、賠償請求や保険申請に必要な交通事故証明書、刑事記録などを取得するために重要です。
さらに、事故相手の氏名・住所・連絡先・保険加入の有無を確認し、可能であれば自転車同士の状況や周囲の状況を写真や動画で記録しておくと、後々の証拠として非常に役立ちます。
治療やその後の診断書提出の重要性
交通事故による負傷の治療は迅速に開始し、医療機関で正確な診断を受けることが必要です。
診断書は、慰謝料や損害賠償を請求する際の重要な資料となるため、治療中や治療終了後に必ず発行してもらいましょう。
また、後遺症が残った場合には、後遺障害の等級認定を受けるために後遺障害診断書の作成が欠かせません。
適切な賠償請求を行うためには、適切な診断書の作成が重要です。
弁護士による示談交渉の有利な進め方
自転車事故の被害者が適切な賠償金を獲得するには、示談交渉や裁判を適切に進めることが重要です。
弁護士は交通事故に精通しており、過失割合の算定や損害賠償請求に必要な根拠の整理をサポートしてくれます。
また、保険会社は被害者にとって不利な条件を提示することがありますが、弁護士が介入することで適切な条件を引き出せる可能性が高まります。
特に、自転車事故特有の事情がある場合には、専門知識を持つ弁護士の存在が大きな強みとなります。
弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による交通事故解決サポートを行っております。
自転車事故被害に遭われた方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
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