交通事故コラム

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自転車事故の慰謝料はいくら?相場は?計算・請求方法についても徹底解説

2025.01.13

慰謝料 自転車

このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 自転車事故の慰謝料の算定基準と相場
  • 自転車事故で慰謝料を請求する際のポイント
  • 自転車事故の基礎知識・主な特徴
  • 過失割合の考え方と状況別の具体例
  • 慰謝料を含む賠償金の内訳・請求の流れ
  • 高額賠償事例

等について解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による交通事故解決サポートを行っております。

 

自転車事故被害に遭われた方やそのご家族の方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

交通事故被害者側損害賠償請求専門弁護士による自転車事故被害解決サポートの詳細についてはこちら。

 

自転車事故の慰謝料の基準

自転車事故の慰謝料を計算する際には、

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判基準)

の3つの基準が用いられます。

それぞれの基準の概要は以下のとおりです。

自賠責基準 最低限度の補償。日額4300円など
任意保険基準 自賠責基準よりは高いが被害者にとって適切な金額とは言えない
弁護士基準(裁判基準) 最も高額かつ被害者にとって適切な基準

自賠責基準

自賠責基準とは、平成13年金融庁 国土交通省告示第1号にて定められている「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」をいいます。

被害者への迅速かつ平等な支払を実現するために設けられた最低限の基準であり、3つの基準の中で最も低額です。

なお、自転車事故の場合、相手方が自動車であれば自賠責保険が適用されますが、相手方も自転車の場合は自賠責保険の適用がないため、この基準が直接は用いられません。

 

任意保険基準

任意保険基準は、各保険会社が独自に設定する基準です。

具体的な計算式は公開されておらず、自賠責基準よりやや高めに設定される傾向にありますが、弁護士基準と比べると大幅に低い水準です。

 

加害者側の保険会社が提示してくる慰謝料額は、この任意保険基準に基づいていることがほとんどです。

任意保険会社はできるだけ支払う保険金額を少なくしようとするため、被害者の方が弁護士基準での請求を求めない場合には適切な慰謝料が支払われることはまずありません。

 

弁護士基準

弁護士基準(裁判所基準)とは、「赤い本」と呼ばれる『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)にまとめられた基準です。

過去の判例・裁判例に基づいて形成されており、3つの基準の中で最も高額かつ被害者にとって最も適切な基準となります。

自賠責基準や任意保険基準と比べて、慰謝料額が数十万円から数百万円単位で増額されるケースも少なくありません。

 

自転車事故の慰謝料相場

入通院慰謝料

入通院慰謝料(傷害慰謝料)とは、自転車事故で怪我を負い、治療のために入院・通院した期間の精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

基本的には入通院期間によって金額が決まります。

 

自賠責基準の場合

自賠責基準による入通院慰謝料の計算は以下の方法で行うとされています(自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準より)。

⑴ 慰謝料は、1日につき4,300円とする。

⑵ 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。

 

実務上の計算としては、以下の方法にて行われています。

入通院慰謝料=4300円×総治療期間と実通院日数の2倍のどちらか短い方

 

例を挙げてみましょう。

自転車事故に遭い、6か月間の通院(実通院日数50日)を余儀なくされた被害者の、自賠責基準により計算される入通院慰謝料の額は、

実通院日数50日の2倍の100日の方が6か月(180日)よりも短いですから、

4300円×50日×2=43万円となります。

 

自賠責基準の場合には、怪我の軽重や入院の有無などは、慰謝料額に影響を与えません。

 

弁護士基準の場合(軽傷のケース)

弁護士基準での入通院慰謝料の計算に当たっては、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)に記載されている、

別表Ⅱを用いて、基本的には総治療期間をベースにすることになります。

 

別表Ⅱを用いて計算した場合の目安は以下のとおりです。

通院1か月 19万円
通院2か月 36万円
通院3か月 53万円
通院4か月 67万円
通院5か月 79万円
通院6か月 89万円

弁護士基準の場合(重傷のケース)

重傷のケースですと、別表Ⅰを用いて計算がされます。

 

別表Ⅰを用いて計算した場合の目安は以下のとおりです。

通院1か月 28万円
通院2か月 52万円
通院3か月 73万円
通院4か月 90万円
通院5か月 105万円
通院6か月 116万円

 

自賠責基準と弁護士基準では、同じ通院期間でも大きな差が生じます。

先ほど見たように自賠責基準では通院6か月(実通院日数50日)の場合の慰謝料額は43万円でしたが、

弁護士基準では軽傷の場合でも89万円、重傷の場合には116万円が一つの目安であり、倍以上の増額になる可能性があります。

 

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、自転車事故によって負った怪我に対して適切な治療を受けたにもかかわらず、

後遺症が残ってしまったと認められる場合に、入通院慰謝料とは別途支払われる慰謝料をいいます。

 

この後遺障害慰謝料についても、用いる基準によって金額が異なりますが、

自賠責基準であれ、任意保険基準であれ、弁護士基準であれ、後遺障害等級に応じた慰謝料額をベースにするという考えは通底しています。

 

具体的な金額は以下のとおりです。

自賠責基準による相場

自賠責基準の後遺障害慰謝料は認定された後遺障害等級によって以下のとおりに定められています。

別表第1第1級 1650万円
別表第1第2級 1203万円
別表第2第1級 1150万円
別表第2第2級 998万円
第3級 861万円
第4級 737万円
第5級 618万円
第6級 512万円
第7級 419万円
第8級 331万円
第9級 249万円
第10級 190万円
第11級 136万円
第12級 94万円
第13級 57万円
第14級 32万円

弁護士基準による相場

弁護士基準の後遺障害慰謝料は自賠責基準と比べて大幅に高額になります。

第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

たとえば後遺障害等級14級の場合、自賠責基準の32万円に対し、弁護士基準では110万円と約3.4倍の差があります。

表を見れば分かるように、用いる基準と後遺障害等級によって、慰謝料の額が大きく変わるわけですから、

  • まず弁護士基準での請求を行うこと

はなにより重要なわけですが、

  • 残ってしまった後遺症を適切に評価した後遺障害等級の認定を得ること

も非常に重要になるわけです。

 

したがって、交通事故被害を専門としている弁護士に相談し、自分の後遺症から考えられる適切な後遺障害等級は一体何級なのか?

という点を知ることは非常に重要になります。

 

ところで、自転車事故(相手方が自動車)の場合には、自賠責保険に対して被害者請求を行うことによって、

自賠責損害調査事務所という第三者機関が後遺障害等級認定の審査を行ってくれます。

 

この自賠責損害調査事務所の認定というのは非常に通用力があり、

示談交渉の場で、この調査事務所の認定自体がおかしいといって加害者側から争いを起こされることはほとんどありません。

 

他方で、自転車VS自転車のような事故類型の場合には、

この自賠責損害調査事務所のような、被害者・加害者の双方に通用力を持つ機関が存在しません。

 

この場合にはそもそも残っている後遺症は後遺障害等級のどれに該当するのか?という点から争いになることが多く、

弁護士に相談しなければ納得のいく解決が難しいことも多いです。

 

死亡慰謝料

自賠責基準による相場

自賠責基準による死亡慰謝料は、請求権者の数や被扶養者の数によって決まります。

請求権者1名 死亡した本人の慰謝料400万円+550万円=950万円
請求権者2名 死亡した本人の慰謝料400万円+650万円=1050万円
請求権者3名以上 死亡した本人の慰謝料400万円+750万円=1150万円
被害者に被扶養者がいるとき 上記金額に200万円を加算

なお、自賠責保険全体の死亡保険金の上限は3,000万円です。

 

弁護士基準による相場

弁護士基準における死亡慰謝料は、被害者の属性に応じて次のような目安が設定されています(近親者慰謝料を含む)。

被害者が一家の支柱である場合 2800万円
被害者が母親や、配偶者である場合 2500万円
被害者がその他(独身の男女、子供、幼児等)である場合 2000万円~2500万円

 

 

また、具体的な斟酌事由により、増減されるべきで、一応の目安を示したものである。」という注意があります。

 

 

自転車事故で慰謝料を請求する際のポイント

事故直後は適切な対応を行う

自転車事故に遭った場合、まずは負傷の有無や状況を確認し、安全を確保することが最優先です。

 

その後、直ちに警察へ事故の連絡を行い、必要に応じて救急車の要請を行いましょう。警察への届け出は義務ですし、

賠償請求や保険申請に必要な交通事故証明書・刑事記録などを取得するためにも重要です。

 

また、事故相手の氏名・住所・連絡先・保険加入の有無を確認し、

可能であれば自転車同士の状況や周囲の状況を写真や動画で記録しておくと、後々の証拠として非常に役立ちます。

 

速やかに治療・診断書を取得する

交通事故による負傷の治療は迅速に開始し、医療機関で正確な診断を受けることが必要です。

 

事故後速やかに診断を得て診断書を作成してもらっていないと、

相手方から「事故日と初診日が離れているし、その怪我は本当に今回の事故で負ったものではないのではないか?」と言われるリスクが高まります。

 

診断書は、慰謝料や損害賠償を請求する際の重要な資料となるため、治療中や治療終了後に必ず発行してもらいましょう。

また、後遺症が残った場合には後遺障害等級認定を受けるために後遺障害診断書の作成が欠かせません。

 

 

弁護士に相談し交渉を有利に進める

自転車事故の被害者が適切な慰謝料を獲得するには、示談交渉や裁判を適切に進めることが重要です。

弁護士は交通事故に精通しており、過失割合の算定や損害賠償請求に必要な根拠の整理をサポートしてくれます。

 

また、保険会社は被害者にとって不利な条件を提示することがありますが、

弁護士が介入することで弁護士基準(裁判基準)での請求が可能となり、慰謝料が大幅に増額されるケースも少なくありません。

 

特に、自転車事故特有の事情(相手が無保険自転車である場合の対応、後遺障害等級認定機関がない場合の処理など)がある場合には、

専門知識を持つ弁護士の存在が大きな強みとなります。

 

完治または症状固定まで通院を続ける

自転車事故による負傷は、医師の指示に従い症状が完治するか、または症状固定と判断されるまで継続して通院することが重要です。

 

途中で通院を打ち切ってしまうと、その時点で治療が終了したと判断され、入通院慰謝料の算定期間が短くなります。

また、後遺症が残っているにもかかわらず通院をやめてしまうと、後遺障害等級の認定においても不利に働く可能性があります。

 

保険会社から「治療費の支払いを打ち切ります」と言われても、医師がまだ治療継続を必要としていると判断している場合は、それに従う必要はありません。

このような場面では速やかに弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

後遺症が残る場合は後遺障害等級の認定を受ける

治療を続けてもそれ以上症状が良くならない状態(症状固定)になってしまった場合には、

残っている後遺症を適切に後遺障害として認定してもらうことが必要です。

 

後遺障害診断書の作成の前には一度弁護士に相談することをお勧めします。

専門弁護士がサポートすることにより、医師に作成してもらう後遺障害診断書の内容が変わり、適切な等級認定の可能性が大きく変わります。

 

なお、後遺障害等級認定を獲得することで後遺症慰謝料の他に逸失利益という費目についても請求が可能になります。

 

証拠を集める

自転車事故では事故状況をめぐって争いになることが多いため、客観的な証拠の収集が勝敗を分けることがあります。

 

活用できる主な証拠は以下のとおりです。

  • 事故現場の写真・動画:車両の損傷・道路状況・信号の状態などを記録する
  • ドライブレコーダーの映像:相手方が自動車の場合に有効。事故直後にデータを保存する
  • 目撃者の証言・連絡先:事故を目撃した第三者の証言は有力な証拠となる
  • 警察の実況見分調書・交通事故証明書:事故発生の客観的な記録として重要
  • 監視カメラ・防犯カメラの映像:交差点や近隣店舗に設置されたカメラに映像が残っていることがある

 

これらの証拠は時間が経つにつれて消失・消去されるリスクがあるため、できる限り早期に確保することが重要です。

 

弁護士基準で慰謝料を計算する

前述のとおり、交通事故の慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがありますが、

被害者にとって最も適切な金額が認められるのは弁護士基準です。

 

任意保険会社が提示してくる金額は、実際の弁護士基準から見て大幅に低いことが多いため、

保険会社の提示額をそのまま受け入れることには注意が必要です。

 

弁護士に依頼して弁護士基準での計算と請求を行うことで、受け取れる慰謝料が大幅に増額されるケースがあります。

 

慰謝料以外に請求できる損害賠償も確認する

慰謝料以外にも以下のような様々な賠償金を請求することができます。

積極損害

積極損害とは、交通事故に遭ってしまったことによって余計に支出せざるを得なくなった損害をいい、代表的なものは以下になります。

  • 治療費:入院費・手術費・投薬費・リハビリ費用など
  • 入院雑費:1日1,500円が目安
  • 通院交通費:公共交通機関・タクシー代(重傷の場合)など
  • 付添看護費:重傷で入院中に付添が必要な場合
  • 装具・器具費用:松葉杖・コルセット・車椅子など
  • 将来の治療費・介護費:後遺障害が重篤な場合の将来にわたる費用

 

休業損害

交通事故によって業務を休まざるを得なかった場合に生じる収入の減少を補うための賠償が、「休業損害」です。

 

これは、事故の治療やリハビリのために仕事を休む必要があった場合でも、収入の減少を填補する目的で請求されるものです。

 

休業損害は、給与所得者・個人事業主はもちろん、専業主婦(家事従事者)に対しても認められることがあります

 

具体的な計算方法や注意点は、被害者の方の属性(給与所得者なのか、個人事業主なのか、専業主夫なのかなど)によって変わるため、

ご自身の休業損害が適切に計算されているかどうかは弁護士に相談して確認することをお勧めします。

 

 

逸失利益

後遺障害等級が認定された場合、後遺症が残ったことで将来にわたって労働能力が低下・喪失することで得られなくなる収入に対して「後遺症逸失利益」を請求することができます。

 

逸失利益は以下のような計算式に当てはめて求めることができます。

逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

この計算式の中の労働能力喪失率が後遺障害等級に応じて決定されるため、等級によって逸失利益の金額も大きく変わります。

 

自転車事故の基礎知識

自転車事故は、そのスピードや状況によって軽傷から重大な被害までさまざまな結果を引き起こします。

主な被害としては、擦り傷や打撲などの軽傷から骨折や頭部外傷、ひいては死亡事故に至るケースもあります。

 

また、交通事故の被害者となった場合、身体的な痛みだけでなく、精神的な苦痛や経済的な損害も伴うことが多いです。

特に入院や通院、休業損害などが発生することで、生活に大きな影響を与えることがあります。

 

自転車事故の主な特徴

保険に加入していない自転車が多い

自転車は自動車と異なり、任意保険への加入義務がありません。

そのため、事故の加害者である自転車が無保険である場合も少なくありません。

 

加害者が無保険の場合、被害者は加害者本人に対して直接損害賠償請求を行わなければなりませんが、

相手に十分な支払い能力がなければ現実的な賠償を受けることが難しくなります。

このような場合には、強制執行などにより財産を差し押さえたりといった手続が必要となることもあります。

 

泣き寝入りを防ぐためにも、まず加害者側に何らかの賠償責任保険(個人賠償責任保険・自転車保険など)が無いかを探してもらうことが重要です。

弁護士に相談することで、こうした保険の調査・請求をサポートしてもらうことができます。

 

自転車側の過失割合が低くなりやすい

自転車事故の相手が自動車や単車(バイク)の場合、

  • 被害者保護
  • 危険責任の原則
  • 優者危険負担の原則

等が考慮され、自転車側に有利な過失割合が設定されることになります。

 

例えば、信号機により交通整理のされていない同幅員の交差点における自転車と自動車の衝突事故の場合だと、

  • 自転車20:自動車80

が基本過失割合になります。

 

他方で、これが自動車同士だと、

  • 左方車40:右方車60

が基本過失割合となります。

 

自転車側に有利に考えられることがお分かりいただけると思います。

 

自転車側が大きな被害を受けやすい

自転車は身体が露出した状態であるため、交通事故に遭った場合に非常に重大な傷害を負いやすいという特徴があります。

脊髄損傷や脳損傷など、命に関わる大怪我になることも珍しくありません。

 

治療期間が長引いたり重い後遺障害が残ったりして、慰謝料や逸失利益が非常に高額になることもあります。

このようなケースだと、適切な賠償金の支払いを求めようとすると、どうしても保険会社側の決済がおりず、裁判にならざるを得ないこともあります。

裁判になると弁護士のサポートが必須になりますから、相談に行くようにしましょう。

 

自転車事故における過失割合の考え方

自転車事故では、多くの場合、当事者の過失割合が問題となります。

過失割合とは、一言でいえば事故当事者が、事故発生に対してどれだけの責任を負うかを表した割合です。

 

民法では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定されています(民法第722条2項)。

これを「過失相殺」といい、過失相殺によって定められた被害者及び加害者の過失の割合を「過失割合」といいます。

 

例えば被害者に生じた損害が総額1000万円と評価される場合に、被害者の過失が10:加害者の過失が90という認定がされると、

被害者が加害者に対して請求できる金額は1000万円×(100%-自己過失分10%)=900万円ということになります。

 

このように、過失割合は実際に受け取ることができる賠償金額に大きな影響を与える重要な要素になるわけですが、

自転車事故における過失割合は検討が難しいこともあります。

 

自転車VS四輪車・単車のような場合にはある程度過去の裁判例等の蓄積により類型化された判断基準があったり、ドライブレコーダーがあったりするため、

比較的容易に過失割合の検討を進めることができます。

一方で自転車VS自転車の事故の場合には、ドライブレコーダーなどが無いなどで、お互いの意見が対立して平行線を辿ることも多いです。

 

そういった場合には、事故当時の状況を示す証拠の有無が勝敗を分けますから、

被害に遭った場合には速やかに警察に報告したり、事故状況を写真で撮影したり、目撃者がいれば連絡先などを聞いておいたりすると良いでしょう。

 

 

【状況別】自転車事故の過失割合

実務上、過失割合は、別冊判例タイムズ39号と呼ばれる、東京地裁民事交通訴訟研究会編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂6版)』をもとに判断されることがほとんどです。

 

以下では、代表的なシーン別に基本過失割合を解説します。

なお、以下の数値はあくまで基本過失割合です。後述する修正要素をはじめ、個別具体的な事情によって大きく変わることもあります。

 

自転車と車の場合

交差点の事故における過失割合|信号あり

信号機のある交差点での事故では、双方の信号の色が過失割合を大きく左右します。

まず、直進車両同士の出会いがしらの事故を見てみましょう。

自転車():車( 0:100
車():自転車( 80:20
自転車():車( 10:90
車():自転車( 40:60
自転車(信号直前の):車( 15:85
車(信号直前の):自転車( 55:45
自転車():車( 30:70
自転車():車(信号だが明らかに後から交差点に進入) 15:85

 

当然ですが、信号を遵守していた側の過失が低くなる一方、信号を無視した側には重い過失が認められます。

 

交差点の事故における過失割合|信号なし

信号のない交差点では、道路の幅員・優先関係・走行方向などによって過失割合が決まります。

 

双方直進で接触

双方が直進して交差点内で接触する、いわゆる「出会い頭事故」の場合です。

この場合、道路の優先関係をもとに過失割合が決定されます。

 

まずは道路の幅に着目する場合です。

同じ幅の道路 自転車20:車80
自転車が狭い道 車が広い道 車30:自転車70
自転車が広い道 車が狭い道 自転車10:車90

 

次に、一方通行規制の有無に着目する場合(一方通行規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故)です。

通常 自転車20:車80
自転車側に一方通行規制違反がある場合 自転車50:車50

 

次に、一時停止規制の有無に着目する場合(一時停止規制のある道路と同規制のない道路が交差する交差点における出会い頭事故)です。

一時停止規制のある道路から、一時停止せずに交差点に進入したのが車の場合 自転車10:車90
一時停止規制のある道路から、一時停止せずに交差点に進入したのが自転車の場合 自転車40:車60
一時停止規制のある道路から、一時停止をした後に交差点に進入のが自転車の場合 自転車30:車70

 

最後に、優先道路に着目する場合(優先道路と非優先道路が交差する交差点における出会い頭事故)です。

自転車が優先道路:車が非優先道路 自転車10:車90
車が優先道路:自転車が非優先道路 自転車50:車50

 

対向車が右折するときの接触

直進する自転車と、対向方向から右折してきた車が衝突した場合です。

基本 直進自転車10:対向右折車90
両者とも信号で交差点に進入した場合 直進自転車20:対向右折車80
両者ともに信号で交差点に進入した場合 直進自転車30:対向右折車70
右折車が信号で交差点に進入後、信号で右折した場合 直進自転車40:対向右折車60
右折車が信号で交差点に進入後、信号で右折した場合 直進自転車70:対向右折車30
右折車が青矢印信号で右折をし、直進自転車が信号で進入した場合 直進自転車80:対向右折車20

 

同方向を走行中の車との事故における過失割合

同じ方向に走行している状況での事故も多く発生します。

 

直進中に車両の進路変更で接触
進路変更をする車と後続直進自転車との事故 車90:自転車10
進路変更をする自転車と後続直進車との事故 自転車20:80

 

横断歩道の事故における過失割合

自転車が横断歩道(または自転車横断帯)を通行中に車と接触した場合です。

自転車(歩行者用信号):車(対面信号 自転車0:車100
自転車(歩行者用信号点滅):車(対面信号 自転車10:車90
自転車(歩行者用信号):車(対面信号 自転車25:車75
自転車(歩行者用信号):車(対面信号 自転車55:車45
自転車(歩行者用信号):車(対面信号 自転車75:車25
自転車(歩行者用信号):車(対面信号) ※右左折 自転車10:車90
自転車(歩行者用信号):車(対面信号)※右左折 自転車60:車40

 

そのほか事故における過失割合

横断歩道以外を走行中に車両と接触

交差点や横断歩道ではない場所で、自転車が道路を横断しようとした際の事故です。

横断歩道以外での横断は、自転車側の過失が若干重く評価されます。

横断自転車30:道路直進車70

 

走行中に開けられた車のドアと接触

停車中の車のドアが突然開いて走行中の自転車が接触する、いわゆる「ドア開放事故」です。

別冊判例タイムズには、自転車対車における「ドア開放事故」の過失割合は示されていませんが、

バイク対車の場合は示されています。

バイク10:車90

バイク対車の場合と、自転車対車の場合を比較すると、

自転車の方が少し有利に考えられていますので、このバイク10:車90を参考にしつつ、過失割合を決めていく形になると思われます。

 

駐車場などの道路外に出入りする車両との接触

道路を直進する自転車と、駐車場などの道路外に出入りする車両との接触の場合です。

直進自転車:駐車場などの道路外から道路に進入する車 10:90
直進車:駐車場などの道路外から道路に進入する自転車 40:60
直進自転車:駐車場などの道路外に出るために右折する車 10:90

 

自転車同士の場合

自転車同士の事故については長らく明確な基準が存在しないまま過失割合の検討が行われていましたが、2026年3月30日に発売された、

東京地裁民事交通訴訟研究会編『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂6版)』

に、類型が追加されたため、基準に基づく検討が可能になりました。

 

この新設された自転車同士の事故の類型においては、

  • 道路交通において対等な関係にあるもの同士の事故であるから、四輪車同士の過失割合をベース

にしたうえで、

児童や高齢者が運転者の側に怪我が発生した場合には、被害者保護の観点を考慮するという考え方が取られています。

 

自転車と歩行者の場合

自転車VS歩行者の事故では、道路交通法上「軽車両」に該当する自転車が加害者側とみなされるため、自転車側の過失割合が大きくなる傾向があります。

横断歩行者の事故

横断歩行者が、横断歩道上を歩行していた場合に事故に遭ったというケースでは、原則として歩行者に過失は認められません。

ただし、歩行者側の信号が赤であったり黄(歩行者青信号の点滅を含む。)であった場合には、歩行者に過失が認められてしまうことがあります。

また、横断歩道のない場所を横断しようとした歩行者が事故に遭ったというケースも、歩行者に過失が認められてしまうことがあります。

 

対向又は同一方向進行歩行者の事故

歩行者用道路における交通事故の場合は、歩行者用道路の通行を許可されている自転車が徐行運転(時速6~8㎞)によって走行している前に急に飛び出したような場合でない限り、

歩行者に過失が認められることはありません。

また、歩道上の事故も、自転車通行の許された歩道上を進行する自転車の前に歩行者が急に飛び出したような場合でない限り、歩行者に過失が認められることはありません。

路側帯上の事故も、自転車の前に歩行者が急に飛び出したような場合でない限り、歩行者に過失が認められることはありません。

車道上の事故の場合は、歩道がなく、かつ、歩行者が道路交通法第10条1項に従って右側通行をしていたという場合には、

歩行者がふらつきながら歩いていたなどの事情がない限り、歩行者に過失が認められることは、基本的にはありません。

歩道があるのに車道を通行していた、歩道はないが道路の左側を通行していた、道路の端ではなく真ん中付近を通行していたなどといった場合には、歩行者にも過失が取られることがあります。

 

車から降りて歩道に進入した歩行者やお店などから出て歩道に進入した歩行者の事故

歩行者が、タクシーなどの車から降りて車道から歩道に進入した際に自転車と衝突した場合や、

お店から出て歩道に進入した際に自転車と衝突した場合、原則として、歩行者に過失が認められることはありません。

これは歩道ではなく路側帯の場合でも同様です。

ただし、歩道通行可能な歩道を走行していた自転車が、時速6~8㎞での徐行運転をしていて、

かつ、歩道の中央から車道寄りを走行しているとか、普通自転車通行指定部分を走行しているといった場合に、

歩行者がわずかな注意をすれば交通事故を回避することができたのに、予想外にふらつくなどして、自転車の進路前方に急に飛び出し事故になったという場合には、

歩行者に10%程度の過失が取られることがあります。これが歩道ではなく、路側帯の場合には、歩行者に20%程度の過失が取られることがあります。

 

慰謝料を含む自転車事故の賠償金の内訳

自転車事故では、被害者が負った損害に応じて様々な賠償金を請求することが可能です。

賠償金は大きく分けて

  • 積極損害
  • 消極損害
  • 慰謝料

の3つで構成されます。

 

積極損害とは、事故に遭ったことにより余計に支出せざるを得なくなった損害を言い、

具体例としては治療費通院交通費、入院雑費、装具費用、介護費用、葬儀費用などが含まれます。

 

この積極損害については、実際に要した費用(実費)の請求が認められることが多いため、

1つ1つの損害についてしっかりとレシートや領収証などを保管しておくことが重要です。

 

消極損害とは、事故に遭ったことにより、本来得られるはずであったのに得られなくなった利益(損害)を言い、

具体例としては休業損害逸失利益などが含まれます。

 

この消極損害については、事故前と事故後との比較により損害の大きさを推測していくことになるため、

事故前の収入を証明する資料などが必要となります。

 

また、逸失利益についてはその計算の中で出てくる労働能力喪失率が、後遺障害等級と連動して決定されるため、

適切な後遺障害等級の認定を得ることはとても大切です。

 

慰謝料とは、被害者が負った精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことです。

慰謝料の中にも

  • 怪我をしたこと自体の苦痛や入通院を要した苦痛に対する「入通院慰謝料
  • 後遺症が残ってしまった苦痛に対する「後遺症慰謝料
  • 被害者が亡くなってしまったことに対する「死亡慰謝料

の3つがあります(詳細は先述の自転車事故の慰謝料相場を参照ください。)。

 

慰謝料を含む自転車事故の損害賠償請求の流れ

自転車事故による損害賠償請求は、事故発生直後から始まります。

まず、事故後すぐに警察に届け出て交通事故証明書を取得することが必要です。その後、治療を受け、診断書を作成してもらいます。

 

交通事故証明書はまさに事故発生を証明する証拠として必要となりますし、

事故後速やかに診断を得て診断書を作成してもらっていないと、相手方から「事故日と初診日が離れているし、その怪我は本当に今回の事故で負ったものではないのではないか?」と言われるリスクが高まります。

 

 

その後はしばらく治療を続けていくことになります。

治療を続けていく中で完治するのがもちろん最も望ましいですが、場合によっては治療を続けても症状が良くならない状態に達することがあります。

 

この状態に達した時点を症状固定といい、この段階で残ってしまっている症状を後遺症と言います。

 

 

症状固定を迎えた場合には、主治医に後遺障害診断書を作成してもらうことで、

残存した後遺症を適切に評価してもらう準備を進めることになります。

 

相手方がバイクや自動車である場合は自賠責保険に加入しているはずなので、加害者加入の自賠責保険に対して後遺障害等級認定の申請をします。

相手方も自転車である場合には、個人賠償責任保険に加入している場合もありますが、無保険であることも考えられ、

その場合は作成してもらった後遺障害診断書を踏まえて自身で後遺障害等級の見立てを立てることになります。

 

適切な後遺障害等級の認定が得られた、または等級の見立てが立った場合には、

加害者(加害者側保険会社)に賠償金の請求を進めていくことになります。

 

何も主張しなくても加害者側から被害者にとって適切な提示が出るということはまずないといって良いため、

被害者側としては発生した損害について、もれなく適切に請求をすることが求められます。

 

後遺障害診断書の作成や損害の計算については知識を必要とされるため、専門弁護士に相談することでより適切な賠償金を得る可能性を高めることができます。

 

 

自転車事故による高額賠償の事例

ここまで見てきたように、自転車事故による賠償金額は、被害者に発生した損害をもとに計算されます。

当たり前のことを言っているように感じられるかもしれませんが、加害者側が自転車であろうが自動車であろうが変わらないという点は重要です。

 

東京地方裁判所平成20年6月5日判決では、車道を自転車で直進していた事故当時24歳の男性が、歩道からその車道に自転車で進入してきた高校生と衝突して投げ出され、

頭部を強打して後遺障害等級1級に該当する後遺障害が残存した事案について、将来介護費や逸失利益、後遺症慰謝料などを併せて1億6000万円ほどの損害が発生したと認めています(過失割合が50:50と認定されたため、賠償請求が認められたのは半額の8000万円ほど、弁護士費用などを併せて合計で9000万円ほどでした。)。

 

自転車同士の事故であってもこれだけの損害が発生する可能性があります。

しかし、相手方が自転車である場合は、そもそも賠償責任保険に加入していなかったり、加入していたとしても上限があり満足な賠償を受けられないという可能性もあります。

 

このような場合には、自賠責保険や政府保障事業、犯罪被害給付制度などの利用も難しいため、強制執行などにより財産を差し押さえたりといった手続が必要となります。

 

泣き寝入りを防ぐためにも加害者側に賠償責任保険が無いかを探してもらうのが重要になります。

 

自転車事故の慰謝料に関するよくある質問

自転車事故で擦り傷を負った場合の慰謝料はいくらですか?

擦り傷や軽い打撲などの軽傷で通院した場合でも、病院へ通院している期間があれば慰謝料(入通院慰謝料)を請求することができます。

 

例えば、1週間程度で治る軽傷の場合、弁護士基準では約4万円から5万円が相場となっています。

また、1か月通院した場合は、自賠責基準なら約3万円から13万円のところ、弁護士基準では約19万円です。

 

弁護士基準を用いると、被害者としてより適正な賠償を受けることが可能となるのです。

 

保険会社から提示された慰謝料に納得がいかない場合は、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 

交通事故の慰謝料はいつもらえますか?

慰謝料を含む損害賠償金は、原則として示談成立後に一括して支払われます。

示談成立後から実際に慰謝料が支払われるまでの期間は、大体1週間から10日程度が一般的です。

具体的には、示談書の受け取り及び確認手続きに数日、その後、実際の支払い手続きが進められ3〜7日程度で口座に振り込まれることが多いです。

 

支払いの期間には個別の事例や保険会社の対応によって差がありますが、一般的にはこのような目安となります。

ただし、示談金が高額になるような場合にはこの目安よりも時間を要することがあります。

 

速やかな慰謝料の振り込みを受けるために、必要な書類の準備などは迅速に行いましょう。

また、どうしても示談成立まで生活が保てない時には、内払いの依頼や仮渡金制度の利用なども検討すべきです。

 

ただし、焦って低額な示談を締結してしまう、といったことはないように気を付けましょう。

 

 

 

まとめ(弁護士法人小杉法律事務所における自転車事故の解決事例)

ここまでみてきたように、自転車事故の場合には怪我が重篤になることも多く、

慰謝料をはじめとする賠償金額が高額になることも多いです。

 

泣き寝入りを防ぐためにも、弁護士に相談し、適切な慰謝料を受け取ることができるよう最善を尽くしましょう。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

自転車事故被害に遭い、ご自身が受け取れる慰謝料額について不安をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。

 

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交通事故に強い「弁護士法人小杉法律事務所」における自転車事故の解決事例はこちら。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。