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後遺障害9級の逸失利益の計算方法について弁護士が解説!

2024.10.03

損害賠償請求

後遺障害等級 逸失利益

このページでは、損害賠償請求を専門とする弁護士が、

  • 後遺障害9級の症状
  • 後遺障害9級の認定基準
  • 後遺障害9級が認定された場合の逸失利益の計算方法

 

などについて解説します。

 

弁護士法人小杉法律事務所では、損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

 

 

後遺障害9級とは?

後遺障害の定義と認定基準

交通事故などによって生じたお怪我に対して治療を続けたものの、

身体や精神の障害が残り、そのために日常生活や労働に支障をきたす状態になることがあります。

 

この、治療を続けたがそれ以上良くならない状態のことを「症状固定」といい、その時に残っている身体や精神の障害のことを「後遺障害(後遺症)」といいます。

 

 

損害賠償請求実務においては、後遺障害の認定は等級制度に基づいて行われます。

障害の程度に応じて1級から14級までの等級があり、この等級は医師の診断書や検査結果に基づき、保険会社や自賠責保険の専門部署が審査を行い、決定します。

 

 

後遺障害9級の主な症状

後遺障害9級は、1級から14級の中で中程度の障害に分類されます。

 

具体的に認定される後遺障害は以下のとおりです(交通事故の場合)。

 

目の障害

 

鼻の障害

 

口の障害

 

耳の障害

 

神経系統の機能または精神の障害

 

手指の障害

 

足指の障害

 

醜状障害

 

後遺障害9級の認定を受けた場合、逸失利益の計算や適正な賠償を受けるために、定義や認定基準を十分に理解することが重要です。

交通事故による損害賠償請求において、後遺障害の認定基準や逸失利益の計算方法を把握しておくことで、保険会社の提示する金額が妥当であるかを判断できます

また、適正な補償を得るために、専門家のアドバイスを受けることも重要です。

 

逸失利益とは

 

逸失利益の基本概念

逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が残り、その結果生じる将来得られるはずであった収入や利益に対する補償のことを指します。

交通事故によって被害者が労働能力を喪失した場合、その分の収入が減少することになります。これを補うための金銭的な補償が逸失利益です。

 

たとえば、後遺障害9級に認定された場合、逸失利益は「基礎収入 × 35% × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で計算されます。

この計算方法によって、被害者が将来にわたって失う可能性のある収入を合理的に見積もることが可能です。

 

逸失利益が認められる条件

逸失利益が認められるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、交通事故によって後遺障害が生じ、その障害が労働能力に影響を与えるものであることが必要です。この場合、後遺障害の等級認定が行われます。

 

後遺障害9級に該当する場合、労働能力喪失率は35%とされます。

 

次に、具体的な逸失利益の金額は基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間に基づいて計算されます。

基礎収入は被害者の事故前の年収などを基に算出され、労働能力喪失期間は後遺障害が労働に与える影響の期間を考慮します。

 

交通事故の損害賠償請求実務で普遍的な基準である『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準 上巻(基準編)』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編)では、

原則として症状固定時から67歳までの期間ですが、被害者が未成年の場合は18歳までの期間を除いたり、

67歳までの期間の長さが、平均余命の2分の1より短い場合は平均余命の2分の1を採用したりといった例外的なルールがあります。

 

さらに、これらの要素を合わせることで、ライプニッツ係数を用いて将来にわたって受け取る金額を現在の価値に引き直した総額を算出します。

 

逸失利益に関する詳しい説明はこちらのページから。

 

後遺障害9級での逸失利益の計算方法

裁判所・法律事務所

 

後遺障害9級の逸失利益の計算方法は「基礎収入×労働能力喪失率35%×労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)」

後遺障害9級に認定された場合の逸失利益は、以下の基本計算式を使用して算出されます。

「基礎収入 × 35% × 労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)」がその式です。

この計算式は、交通事故によって後遺障害が発生し、将来的に得ることができたはずの収入が失われることを前提にしています。

 

基礎収入の算出方法

基礎収入の算出方法について説明します。

基礎収入とは、後遺障害が発生する前の収入を基にします。具体的には、直近の年収や平均賃金を基準にすることが多いです。

 

個人事業主やフリーランスの場合、確定申告書の所得金額をもとに算出されることもあります。

基礎収入は逸失利益計算の基礎となるため、正確に算出することが重要です。

 

労働能力喪失率の決定方法

次に労働能力喪失率の決定方法です。自動車損害賠償保障法施行令に基づく労働能力喪失率表では、

後遺障害9級の労働能力喪失率は35%と定められています。ただし、被害者固有の事情によって増減する場合があります。

 

労働能力喪失期間とライプニッツ係数

労働能力喪失期間とは、後遺障害が労働能力に影響を与えると見込まれる期間のことを指します。

先述のとおり、通常は症状固定時の年齢から67歳までが基準となることが多いです。

ライプニッツ係数は、将来の収入を現時点での価値に換算するために使用されます。

 

一般例&判例のご紹介

裁判所・法廷

一般例(基礎収入600万円・40歳・男性)

例えば、基礎収入が600万円の40歳の男性が、交通事故により後遺障害9級を遺した場合を考えてみます。

逸失利益の計算式はここまで見てきた様に基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)です。

基礎収入は600万円、労働能力喪失率は35%、労働能力喪失期間は67歳までの27年間で、それに対応するライプニッツ係数は18.3270ですから、

 

この方の逸失利益は、600万円×35%×18.3270=3848万6700円となります。

 

ほとんどの事例がこのように定型的な計算で行われることになりますが、

後遺障害9級は精神の障害や醜状障害など、客観的に労働能力を喪失したと認めさせにくい障害が含まれるため、

判例によってはより低い金額が認められてしまった事例もあります。

 

より低い金額が認められてしまった判例

名古屋地方裁判所平成19年11月21日判決(交通事故民事裁判例集40巻6号1499頁)では、症状固定時28歳の専門学校生の男性について、

後遺障害第9級10号に該当するうつ状態があると認めたものの、労働能力喪失率は10年間35%、その後29年間14%を認めるにとどまりました。

 

千葉地方裁判所平成22年1月29日判決(交通事故民事裁判例集43巻1号81頁)では、

事故時バリスタをしていた男性について、高次脳機能障害として第9級10号に該当すると認めたものの、

日常生活の支障が限定的であることを勘案し、労働能力喪失率は27%の認定にとどまりました。

 

このように、裁判例によっては労働能力喪失率表より低い率が認定されてしまっているものもありますので、しっかりと被害者の方の症状を主張してくれる弁護士に依頼しましょう。

 

後遺障害9級の逸失利益・賠償金はいくらになる?

後遺障害9級が認定された場合の逸失利益の額は、ここまで見てきた様に計算することができます。

また、後遺障害9級が認定された場合の慰謝料は690万円になります。

 

ただしこれはあくまで最も高い基準である裁判基準(弁護士基準)による計算です。

最も低い自賠責基準で計算した場合は、慰謝料と併せて最大で616万円となります。

 

相手方保険会社が提示してくる金額も、自賠責基準よりは高額になりますが、それでも裁判基準(弁護士基準)には遠く及びません。

 

損をしないように、適切な賠償金を受けるためには弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

弁護士法人小杉法律事務所の解決事例

ここまで見てきた様に、後遺障害9級が認定された場合の逸失利益や慰謝料の請求には気を付けるべき様々なポイントがありますが、

弁護士法人小杉法律事務所は後遺症被害を専門とする事務所ですので、適切な解決をすることができた事例が複数ございます。

 

以下では当事務所が後遺障害9級の認定を受けた事例を一部ご紹介します。

 

適正な賠償を受けるために弁護士に相談しましょう

 

適正な賠償金額の確認ポイント

交通事故により後遺障害9級が認定された場合、適正な賠償金額を受け取るためにはいくつかの確認ポイントがあります。

まず、逸失利益の計算方法を正確に理解し、基礎収入や労働能力喪失率、労働能力喪失期間、ライプニッツ係数などの各項目を慎重に確認しましょう。

また、後遺障害慰謝料の相場も調査し、過去の判例に基づいて適正な金額が支払われているかどうかを確認することが重要です。

保険会社からの提示額が適正かどうかを判断するためにも、これらの要素をしっかり把握しておきましょう。

 

専門家のアドバイスの重要性

後遺障害9級の賠償金額や逸失利益、慰謝料の適正額を判断するためには、専門家のアドバイスを受けることが非常に重要です。

交通事故に詳しい弁護士に相談することで、正確な情報や具体的な助言を得ることができます。

過去の判例や相場に基づいて、適正な賠償金額を求めるための交渉や訴訟をサポートします。適正な賠償を受けるために、専門家の協力を得ることが大切です。

 

 

弁護士法人小杉法律事務所では、被害者側の損害賠償請求専門弁護士による初回無料の法律相談を実施しております。

後遺障害9級についてお悩みをお抱えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

損害賠償請求専門弁護士へのお問い合わせはこちらのページから。

この記事の監修者弁護士

小杉 晴洋 弁護士
小杉 晴洋

被害者側の損害賠償請求分野に特化。
死亡事故(刑事裁判の被害者参加含む。)や後遺障害等級の獲得を得意とする。
交通事故・学校事故・労災・介護事故などの損害賠償請求解決件数約1500件。

経歴
弁護士法人小杉法律事務所代表弁護士。
横浜市出身。明治大学法学部卒。中央大学法科大学院法務博士修了。

所属
横浜弁護士会(現「神奈川県弁護士会」)損害賠償研究会、福岡県弁護士会交通事故被害者サポート委員会に所属後、第一東京弁護士会に登録換え。日本弁護士連合会業務改革委員会監事、(公財)日弁連交通事故相談センター研究研修委員会青本編集部会。

弁護士小杉晴洋の詳しい経歴等はこちら

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