後遺障害 慰謝料 逸失利益
弁護士解説!交通事故で後遺障害10級認定!請求可能な補償とは?
2025.01.20
このページでは、交通事故被害者側の損害賠償請求を専門とする弁護士が、
- 後遺障害等級第10級とは?
- 後遺障害等級10級の慰謝料相場
- 後遺症慰謝料請求の流れ
等について解説します。
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交通事故被害で後遺障害10級の認定を受けた場合の補償について疑問をお抱えの方は、ぜひ一度弁護士法人小杉法律事務所にお問い合わせください。
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後遺障害10級とは?
交通事故によって受けた怪我が完治せず、一定の後遺症が残った場合には「後遺障害等級」という制度によって障害の重さが分類されます。
交通事故事案におけるこの後遺障害等級は、自動車損害賠償保障法施行令別表第一及び別表第二に定めのある第1級から第14級を用いることになります。
数字が小さい方がより重度の後遺症が残存しているという評価になるため、数字上は後遺障害10級はその中でも比較的軽度に分類される等級ということになりますが、
労働能力や日常生活に及ぼす影響は大きく、適切な補償を受けることが重要です。
ここでは、後遺障害10級に該当する症状やその認定基準について詳しく解説します。
後遺障害等級の基本知識
先ほども見たように、「後遺障害等級」は、交通事故による怪我の後遺症の程度に応じて等級が1級から14級に分類されます。
等級が低いほど重い障害とされ、賠償額も高くなります。
被害者が適正な補償を受けるためには、正しい等級認定を得ることが不可欠です。
この後遺障害等級の認定は後遺症慰謝料や逸失利益の計算、保険会社との交渉に影響を及ぼすため、手続きについてしっかりと理解しておくことが大切です。
後遺障害10級に該当する主な症状
後遺障害10級に該当する症状は、身体の特定の機能や外見に障害をもたらすものです。
具体的には、以下のようなケースが該当します。
目の障害
口の障害
- 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
- 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
耳の障害
- 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
- 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
上肢の障害
手指の障害
下肢の障害
- 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
- 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
足指の障害
このような症状は、被害者の生活や仕事に支障をきたす可能性があります。
そのため、正しい診断と適切な後遺障害認定が重要となります。
後遺障害10級の認定基準とは?
後遺障害10級の認定基準は、症状が交通事故によるものとして医学的に証明され、仕事や日常生活に支障があると評価される場合に適用されます。
交通事故の被害者は、後遺障害診断書を通じてこれらの症状を客観的に示す必要があります。
交通事故事案のほとんどの場合で、示談交渉や訴訟に先立って自賠責損害調査事務所に対して後遺障害等級認定の判断を仰ぐことになります。
この自賠責損害調査事務所における後遺障害等級認定の判断は、醜状障害などの一部の場合を除いて原則として書面審査で行われることになっているため、
後遺障害診断書の出来が適切な後遺障害等級の認定を大きく左右すると言っても過言ではありません。
ですから、主治医から症状固定の判断を受け、後遺障害診断書の作成をするタイミングで専門弁護士に相談し、
ポイントを押さえた後遺障害診断書を作成することが重要になるのです。
労働能力喪失率と日常生活への影響
労働能力喪失率とは、後遺症が残ってしまったことにより、事故前と比較して将来にわたってどの程度働きにくさが生じるかを率で表したものです。
この労働能力喪失率は基本的には認定された後遺障害等級と連動して決定されます。
後遺障害10級が認定された場合の労働能力喪失率は27%とされています(別表Ⅰ労働能力喪失率表より)。
これは、健常者と比較して約73%の労働能力しか発揮できないことを意味します。
この喪失率は、後述するように逸失利益を計算する際に用いられるため、被害者にとって非常に重要です。
後遺障害10級の補償内容
慰謝料の相場について
後遺障害10級に該当する場合、慰謝料は被害者が受けた精神的苦痛を補償するための重要な賠償項目です。
交通事故によって10級の後遺障害が認定されると、この認定された等級に応じた後遺症慰謝料を請求することができます。
自賠責保険基準では約190万円が慰謝料の相場とされていますが、これはあくまで最低限の金額となります。
一方で、弁護士基準に基づく場合、慰謝料額は550万円が一つの目安とされており、被害者がより高い補償を得られる可能性があります。
これを見ていただければお分かりいただけるように、適正な慰謝料を請求するためには、交通事故に強い弁護士に依頼し、弁護士基準で請求することが重要です。
- 関連記事:交通事故被害者が知っておくべき自賠責保険の慰謝料の基準
- 関連記事:交通事故で後遺症が残ってしまった場合の慰謝料請求について弁護士が解説!
- 関連記事:交通事故の慰謝料、弁護士基準でいくらもらえるのか?徹底解説
逸失利益の算定方法
逸失利益とは、後遺障害によって労働能力が低下したことで将来的に失われる収入を補償するものです。
後遺障害10級の場合、労働能力喪失率は27%とされており、健常者に比べて73%の労働能力しか維持できないと見なされています。
逸失利益を計算する際の基本的な計算式は以下のとおりです。
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間(に対応するライプニッツ係数)
例えば、事故前の年収が500万円であった症状固定時40歳の方が後遺障害10級に認定された場合を考えてみましょう。
基礎収入は事故前の年収の500万円を採用します。
後遺障害10級が認定された場合の労働能力喪失率は何度も出てきているように27%です。
労働能力喪失期間は一般的には症状固定時の年齢から67歳までの期間とされますから、27年間であり、これに対応するライプニッツ係数は18.3270です。
したがってこの方の逸失利益は、500万円×27%×18.3270=2474万1450円となります。
逸失利益はこの例を見ていただいてもお分かりになりますように、高額になりやすく、賠償金の中でも多くを占めることが多いです。
ですから、適切な後遺障害等級の認定を得て、適切な逸失利益を請求することが重要になります。
関連記事:【逸失利益】とは?意味やポイントについて損害賠償請求専門弁護士が解説!
自賠責保険基準と裁判基準の違い
後遺障害10級の補償において、自賠責保険基準と裁判基準の違いは重要なポイントです。
自賠責保険基準は、交通事故被害者に対する最低限の補償額を定めるものであるため、金額が低く抑えられていることが多いです。
(自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準参照)
この場合、慰謝料は先ほど見たように190万円となります。
一方、裁判基準は過去の裁判例などをもとに、被害者が受けた損害をより詳細に分析して金額を算定するため、より高額な補償が期待できます。
たとえば、後遺障害10級の慰謝料は裁判基準に基づく場合、550万円が一つの目安です。
また、逸失利益についても裁判基準を適用することで、公平かつ適正な金額を請求することができます。
保険会社は被害者に自賠責保険基準での示談を進める傾向がありますが、これに応じる前に弁護士へ相談することで、補償の増額交渉が可能となります。
請求手続きの流れ
後遺障害等級認定の申請手順
交通事故で後遺障害10級が考えられる場合、適切な請求を行うためにまず後遺障害等級の認定を受ける必要があります。
等級認定の申請の方法としては、保険会社を通じて行う「事前認定」と、被害者自身が申請する「被害者請求」の2つがあります。
「事前認定」の場合、保険会社が必要書類を揃えて手続きを代行するため手間は少ないですが、保険会社が被害者側に有利な証拠を提出しない場合があるため注意が必要です。
一方で「被害者請求」では、自身で後遺障害診断書や交通事故証明書など必要な書類を収集し、自賠責に直接提出します。
この場合書類収集の手間はかかりますが、被害者側に有利な意見書などを添付することができます。
弁護士に依頼することで、書類収集で自身の手を煩わせることなく、かつ被害者側に有利な書類を被害者請求にて提出することが可能です。
弁護士に依頼するメリット
交通事故による後遺障害10級の請求手続きにおいて、弁護士に依頼することは大きなメリットがあります。
まず、専門的な知識を持つ弁護士は後遺障害等級認定の手続に必要となる資料の収集や後遺障害診断書の内容確認を適切にサポートし、 場合によっては主治医に訂正の依頼をします。
また、保険会社は被害者にできるだけ低い示談金を提示する場合が多くありますが、弁護士基準での慰謝料や逸失利益の請求を行うことで、適正な補償額の増額を目指すことができます。
弁護士費用特約がある場合には、費用を気にせず依頼できるため、有効に活用することをおすすめします。
後遺障害10級で補償を最大化するためには弁護士に相談しましょう
ここまでみてきたように、後遺障害10級に該当する場合、適正な補償を受けるためにはいくつか注意したいポイントがあります。
まず重要なのは、後遺障害等級認定のための正確な診断書を準備することです。
そもそも後遺症があっても後遺障害10級の認定を得られなければ後遺障害10級を前提とした請求は難しくなります。
医師に症状を詳しく伝え、後遺障害診断書に正しい内容を記載してもらうことが、認定を得るために大切なステップとなります。
弁護士に依頼することで認定のポイントを押さえた後遺障害診断書を作成することができ、適切な後遺障害等級の認定の可能性が上がります。
また、保険会社との交渉時には提示された金額をそのまま受け入れないことが肝心です。
多くの場合、保険会社の提示金額は被害者に不利な条件を含む場合があります。弁護士のサポートを受けることで、裁判基準を基にした適正な金額への見直しが可能になります。
専門の弁護士に依頼することで、治療期間中のアドバイスを含む適切な後遺障害等級の認定までのサポートや、裁判基準に基づいた精密な示談交渉をしてもらうことができ、
適切な補償を受け取ることができる可能性が多いに上がります。
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